薔薇の記憶(過去作品)

□ヒトリノヨル(過去連載)
2ページ/7ページ

ヒトリノヨル〜H〜



最後にあいつの所に行ってどれくらいたつだろう。
あの日の事を思い出す。





『飛影・・・行かないで下さい。』
『・・・そうもいかんだろう。』
『・・・そうですよね。すいません。』
『蔵馬・・・?』
『・・・今度はいつ会えますか?』
『わからんな。』
『・・・すいません。』





帰り際、最後にあいつが見せた顔。
何度見てもあの表情は好きになれない。
あの泣きそうな表情は。
あの時、間違いなく様子がおかしかった。
それなのに再び会いに行く時間が作れない。

「くそ・・・」

1人で生きていた頃は誰がどうしようと気にもしなかった。
自分から離れていく奴らなど山ほどいた。
それ以前に、そう自分が仕向けていた。
他の奴など邪魔なだけだったから。
けれどあいつは違う。
あいつは・・・特別なんだ。

「蔵馬・・・」

何を考えている?
何を思っている?
あの時の表情が焼きついて離れないんだ。
抱きしめにいくから・・・
その唇に触れに行くから・・・
頼む・・・

「待っていてくれ。」



end



2006.1.30の日記より。
飛影さんの不吉な予感。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ