薔薇の記憶(過去作品)

□過去SS
3ページ/60ページ

HOT


「あつ・・・い・・・」
「・・・おい。」
「あ・・・つ・・・」
「・・・・・。」


エアコンがついてない部屋で死にそうな恋人を目の前に飛影は困った。


「36度だよっ!?・・・俺の体温35度なのに・・・死んじゃう・・・」
「全く・・・人間は不便だな。」
「飛影の妖気が炎だからでしょ・・・」
「妖狐は陰属性だからな。」
「どうせ陰属性だし、今じゃ人間ですよ。」


意味のわからないふてくされ方をする蔵馬がたまらなく愛しくて飛影は笑った。


「おい。」
「・・・何ぃ?」
「俺は炎を纏う。つまり熱い。」
「何を今更・・・」
「じゃあ俺はお前に触れないな。熱いのが苦手なんだろ?」
「・・・っ!!」
「残念だ。」
「・・・意地悪だ。」
「ほらよ。」


飛影はエアコンのリモコンを蔵馬に投げる。
『ピッ』
涼風が部屋に静かに注ぐ。


「節約とかなんとか言ってなかったか?」
「・・・・・。」
「暑いんだろ?」
「エアコン効きすぎ!寒くなってきた!」
「今つけたばかりだろ?」
「飛影・・・来て・・・」
「我儘な奴だな。」


汗ばんだままのその身体を優しく抱きしめて。
次第に漏れてきた吐息が今度は俺を温める。
もっともっと温まろう。
もっと。
もっと。


end

2005.7.26の日記より。
蔵馬さんは暑さに弱いと思う。
でも飛影の暑さはいいのー。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ