御伽噺2(蔵馬メイン小説)
□花火
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「今週末かぁ・・・」
カレンダーを目の前に蔵馬はため息をついた。
扇風機の作り出す人工的な風ではそろそろ汗がひかなくなってきた。
「間違いなく・・・仕事だろうなぁ。」
手に持っていたマジックを投げ捨てて思いっきりベッドに飛び込んだら予想以上の音を立てた。
このベッドも買い替え時かもしれない。
喜びと憂鬱さが半々。
『初恋真っ只中の女の子じゃないんだから。』
自分でつっこんでみるも。
『いや・・・そうは言えないか。』
もう一度つっこみなおした。
半分を占める喜びは、もうすぐ彼が来ること。
半分を占める憂鬱さは、その彼に言えないこと。
「社会人の性ですかねぇ・・・一応向こうも社会人・・・なのか?」
3日前に母がつけていった風鈴が優しく揺れた。
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