御伽噺1(蔵馬メイン小説)
□その心に救いを・・・
1ページ/11ページ
貴女が消えて
貴方が消えて
俺は一人になった。
気が遠くなる程の一生の中で
輝いた時は一瞬で
そしてその光が途絶えた。
俺をここに繋ぎとめる物は何も無く
ならばいっそ消えた方が寂しさなんか感じないだろう。
あの日、平安の世を見ながら孤独に耐え、
あの日、戦乱の世を見ながら孤独に耐え、
いつしか孤独すら感じなくなった。
けれど貴女に会ってから
君達に会ってから
貴方に会ってから
孤独を思い出した。
悠久の時の中で忘れていた孤独を思い出した時
一人では生きていけないと確信した。
そして今
俺は一人になった。
揺れる水面に波紋が広がる。
この身を沈めて音のない世界に行こう。
あの日々を思い出しながら。
ふわりと浮かんだ身体があまりにも軽くて
俺はもう死んでいたのかと思った。
.