御伽噺1(蔵馬メイン小説)

□その心に救いを・・・
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貴女が消えて

貴方が消えて

俺は一人になった。



気が遠くなる程の一生の中で

輝いた時は一瞬で

そしてその光が途絶えた。



俺をここに繋ぎとめる物は何も無く

ならばいっそ消えた方が寂しさなんか感じないだろう。



あの日、平安の世を見ながら孤独に耐え、

あの日、戦乱の世を見ながら孤独に耐え、

いつしか孤独すら感じなくなった。



けれど貴女に会ってから

君達に会ってから

貴方に会ってから

孤独を思い出した。



悠久の時の中で忘れていた孤独を思い出した時

一人では生きていけないと確信した。

そして今

俺は一人になった。



揺れる水面に波紋が広がる。

この身を沈めて音のない世界に行こう。

あの日々を思い出しながら。



ふわりと浮かんだ身体があまりにも軽くて

俺はもう死んでいたのかと思った。






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