御伽噺1(蔵馬メイン小説)
□Deep Snow
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「蔵馬・・・俺はもうお前を想ってやれない。」
わかってたからあまり驚きがないのかな。
もっと悲しくなるかと思ってた。
「うん。貴方の心が躯でいっぱいな事、わかってたから。」
「・・・すまん。」
「やっと言ってくれたね。」
最高のタイミングかもしれない。
だって俺は・・・
「謝らないで下さいよ。躯を選んだ事、貴方にはきっとそのほうがいい。」
「お前との事は、嘘じゃない。本当に俺はお前が・・・」
「ありがとう。」
これで真実を貴方に言わなくて済む。
だって飛影、正直もう目もあまり見えないんだ。
南野秀一の肉体が悲鳴を上げている。
「蔵馬・・・」
「そんな顔しないで下さい。彼女の素晴らしさは俺も知ってる。」
「・・・・・。」
「飛影、楽しかった時間をありがとう。」
母さんが死んで、飛影と別れて、自分の体が限界で・・・
なんていいタイミング。
全て終わる時が来た。
俺にはもったいない程、素敵な出会いに満ち溢れた一生。
これ以上、何を望めるんだろう。
あと一つ望む物は自分の死に場所。
この体を沈める場所。
飛影・・・
今でも貴方を愛してる。
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