御伽噺1(蔵馬メイン小説)

□First Tears
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クラスの女子の会話。

『好きになったらさー、頭の中その人の事でいっぱいになるよね!』
『そうそう。でも付き合い出してからより片思いの方が楽しくない?』
『あ、わかるー!片思い中の方が小さい事まで嬉しいんだよねー。』

まさに俺もその時期真っ只中ってやつか。
本を片手に蔵馬はため息をついた。
頭に浮かぶのは一匹の妖怪。
いつも突然やって来る。
手当てをしながら軽く注意するとむくれて『ふん』と言う。
コーヒーや食事を出すとベッドからさっと降りてちょこんと座って黙々と。
静かになったと思って振り返るといつの間にか俺のベッドを占領してすやすや。
他では絶対に見れない彼だからどんなに小さな事でも嬉しくて愛おしい。
たまらなく嬉しくなる自分がいる。




今日も来てくれますか?




青い空に言葉を投げた。




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