御伽噺1(蔵馬メイン小説)
□天気雨
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「はい、終わりましたよ。全く・・・痴話喧嘩もいい加減にしないと。」
「ふん。」
包帯と薬草をしまいながら蔵馬が飛影の頭を軽くこづく。
外は雨。
久しぶりに人間界に来たのにこうも降り続けられてはどこにも行けない。
出かけるつもりだった蔵馬はやはり少し不機嫌だ。
「コーヒーでいいですか?」
「あぁ。」
「ちょっと待ってて下さいね。」
蔵馬が部屋を出ていくと飛影はため息をついた。
あの不機嫌をどうしたものか・・・
せっかく久しぶりに会えたのに相手があれではさすがに居心地が悪い。
見ているのは面白いのだが・・・
「はい、どうぞ。」
「・・・仕方ないだろう。雨はどうにもできん。」
「これ食べて。」
「何だこの大量の菓子は・・・」
「今日貴方と出かける約束だったから買ってたんです。
そしたら雨だし、貴方はケガして来るし・・・」
そう言って綺麗な顔をきつくして菓子をほおばる。
雨はともかくケガの事には飛影は少し罪悪感を感じた。
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