御伽噺1(蔵馬メイン小説)

□Trouble Meal
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「これはこれは・・・躯軍筆頭戦士と名高い飛影殿ではないか。
わざわざこんな所まで何用で?」
「・・・来たくて来たんじゃない。」


軍事国家として名高い癌陀羅。
その国を統治する国王、黄泉が今向かい合ってる男。
彼が癌陀羅を訪れたとわかった時、国の役人達は一時騒然となった。
それもそのはず、雷禅が死んだ今いつ争いが起きてもおかしくない敵軍の筆頭戦士なのだから。


「これは失礼。先程兵士から聞いたよ。そちらの要塞付近で迷っていた我が軍の兵士を丁寧にも連れて来てくれたそうだな。国王として礼を言う。」
「ふん・・・あいつの命令だ。」
「敵国の兵にも情けをかけるとはそなたの主人は随分お優しいようだ。」
「全く甘い奴だ。」


たった一人の兵をこの国まで送り届けてさっさと消えるつもりだった。
しかし運悪く見回りの兵士達に発見され、彼らの勘違いで変な疑いをかけられこの中枢部まで連行されたのだ。
普段の飛影ならおとなしくこんな所までついて来たりはしない。
しかし自分一人がへたに動いて争いが起きても面倒だし、何より一つ気になる事があった。

『あいつはいないのか・・・』

敵国同士に別れて約一年、会いたくても会えなかった人物。
ここに来れば彼に会えるかもしれない・・・
彼らしくもなく少しの期待を抱いていたのだ。


「せっかくだ。食事の席を設けよう。」
「・・・いらん。」
「ははっ・・・まぁそう言うな。礼だ。毒を入れたりはせんよ。」
「俺は・・・」
「この機会に我が軍の軍事参謀総長を紹介しよう。」


黄泉は近くにいた兵にその事を伝え、軍事参謀総長にも伝えるよう命じた。
飛影は望みもしなかった展開にため息をもらした。





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