御伽噺1(蔵馬メイン小説)
□綺麗と幸せと光と・・・
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「ここにいたのか、蔵馬。」
背後から声がして振り返っって見つけたその黒。
唯一背中を預けられると思う人物。
本人にはそんな事言わない。
でもきっと気づいてる。
「月が綺麗だから。」
「魔界といえど、あの月は綺麗だよなぁ。」
「魔界にも綺麗な物はあるぞ?」
「へぇ・・・極悪非道と恐れられる妖狐蔵馬にも綺麗と思う心があったのか。」
「・・・・・。」
「冗談だよ。怒るな。」
隣に腰を下ろして俺の肩を2回軽く叩く。
気を利かせて持ってきたらしい酒を勧められる。
「で、例えば蔵馬が思う綺麗な物って?」
「あの月。」
「ははっ。それはもうわかってる。」
「滅戮の湖のほとりに咲く転淋華。」
「あの赤い花か。」
「亡者の涙という花も綺麗だ。」
「それは見た事ないなぁ。」
酒を口に含みながら小さく笑う。
すると隣の奴から視線を感じた。
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