薔薇の記憶(過去作品)

□傷ついた君に(過去連載)
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「飛影は?」
「蔵馬んとこ。」
「・・・まだ・・・起きねぇのか。」
「あれだけのケガだ。闘技場から走って逃げるどころか、立って俺達の試合見てるのもきつかったに決まってる。」
「闘技場が爆発した直後にぶっ倒れたもんなぁ・・・」


決勝戦終了後、燃え盛る闘技場を前に蔵馬は倒れた。
正直、蔵馬の傷が一番深かったんだ。
俺や桑原は自分の霊力が残っててそれで傷のふさがりが早かったけど、蔵馬は・・・

『体中を爆破され恐らく体内はボロボロだろう。今まで立っていられたのが奇跡だ。
妖狐に変化して、ただでさえ体への負担が大きかったんだ。
蔵馬の傷はお前達と比べ物にならん程深刻だ。』

コエンマの言ったその言葉がショックだった。
黒龍波撃った後の飛影のケガの治療や、なんとかっていう包帯も巻いて、桑原や俺にも応急処置してくれた。
でもその蔵馬が一番深手だったんだ。


「蔵馬・・・俺達の処置ばっかりやってくれたもんなぁ。」
「俺にも肩貸してくれた。」
「・・・大丈夫だよな。」
「・・・・・。」


大丈夫だ・・・そう思ったけど、やっぱり不安だった。
鴉との戦いは蔵馬が生き残った事すら奇跡と思わせる程の物だったんだから。
蔵馬も最後の瞬間、命をかけたように思えた。
突然蔵馬が倒れた時、一瞬誰も動けなかった。
けど、あいつだけが・・・




『・・・蔵馬?』
『あ・・・』
『蔵馬!!』
『飛影・・・』
飛影が倒れた蔵馬に駆け寄ってやっと俺達は動けた。
『蔵馬!蔵馬!』
『バカ者、揺するな!とりあえず開いた傷を塞ぐ!応急処置だがな。』
『コエンマ・・・』
『すぐにホテルの病院に運ぶのだ!』
『俺が運ぶ!蔵馬、しっかりしろ!』




「あんな飛影・・・見たことなかったなぁ。」
「みんなびっくりしてたぜ。クールなあいつがすげぇ慌ててたもんな。」
「・・・でも・・・かっこよかったよな。」
「あ・・・?」
「蔵馬の為に必死だった。」
「・・・桑原、蔵馬は大丈夫だよ。」
「なんで?」
「・・・飛影がついてる。」


出発は明後日。
きっとそん時はあいつら二人で並んで来る。
どうせあいつはクールなふりして、心底ハラハラしてるんだろうな。


ツヅク


2006.2.17の日記より。
暗黒武術会決勝戦後の話。
幽助と桑原君ですね。
蔵馬の傷、あれだけ深かったのに走って逃げた時はぶっちゃけ笑った。嘘やーん!!みたいな。
だから倒れてもらいました。
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