薔薇の記憶(過去作品)

□強さの理由(過去連載)
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「今日は何人相手だった?」
「知るか。数などどうでもいい。」


パトロールからはもう数時間前に戻っていたはず。
それからずっと戦っていたのか。
飛影は毎日毎日俺の配下の奴らと戦う。
強くなる為に・・・


「お前はもう充分強いじゃないか?それ以上に何を望む?」
「・・・・・。」
「別にお前は魔界を統一したいわけでもないだろう?
お前自身わかっているはずだ。以前のように強さを求める必要がない事を。」


ずっと気になっていた。
なぜこいつはこれ程までに強さを求めるのか・・・
妹の行方もわかった。故郷も見つけた。
そして今、魔界も安定し、晴れて自由の身になり魔界で生きている。
それに何よりこいつはとてつもなく強くなった。
恐らく、俺と互角に戦えるだろう。


「・・・笑わないから言ってみろよ。」
「・・・お前は・・・」
「・・・なんだ?」
「お前は目の前で大切なものが傷つけられるのを見たことがあるか?」


あまりにも真剣だから笑うタイミングを逃した。
らしくない事を言う・・・こいつが『大切なもの』だって?
その発言だけで充分笑えるのに。


「あれ程の屈辱を俺は知らない。」
「・・・何があった?」
「暗黒武術会の一回戦で、俺は初めて黒龍波を使った。だが俺の右手は使えなくなった。」
「・・・・・。」
「そして大会側の策略で二回戦の直後に三回戦が行われる事になったが、戦えるのは幽助と蔵馬だけだった。」


その名前が出た途端、やはり・・・と思った。
だがそれ以上にその先に興味があった。


「俺と幻海は動きを封じられ、桑原は戦えない。
だが蔵馬は恐らく俺の右腕に気づいていた。
あいつは幽助に後を託し、戦った。」
「・・・相手は?」
「陣や凍矢達がいたチームだ。魔界の忍と言われていた奴らは、当時充分強かった。
蔵馬は化粧使いの画魔を倒した。だが同時に妖気を封じられた。
そしてその状態で凍矢と戦い、意識を失う程の重症を負った。」
「・・・それで?」
「だが次の相手が最悪だった。立ったまま意識を失った蔵馬を一方的に痛めつけた。
倒れても掴み起こし、また殴り、ただいたぶり続けた。」


その瞬間飛影を炎が包んだ。
感情の昂りにより妖気が爆発的に増えたのか。


ツヅク


2006.2.12の日記より。
飛影さんの思い出話。
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