薔薇の記憶(過去作品)

□ヒトリノヨル(過去連載)
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ヒトリノヨル〜K〜



「飛影・・・飛影・・・ひえい・・・」


今はいないその名前を口にしてみる。
そうする程むなしくなるだけなのに・・・
今頃パトロールの最中なのかな。
それとも躯の所・・・


「飛影・・・」


使い魔を送ろうかと思っても仕事の邪魔になるような気がして。
他の妖怪に見つかっては、それこそ飛影が嫌な思いをするかもしれない。
何もせずにただ名前を呼ぶだけ。
妖狐として魔界で自由に生きていた頃は常に黒鵺が隣にいた。
けれど人間として生きる今では、そういう事はもう無理だ。


「結婚でもしない限り・・・って、何考えてるんだ、俺は;」


結婚しても魔界と人間界。
どちらかが生きる世界を変えない限り、離れて生きるしかない。


「飛影・・・」


時々不安になる。

『男?大丈夫、気にしないから!』
『君みたいな美人、男だって全然かまわないよ!』
『大事にするから・・・』

会いたくても会えない時、自分を誘ってくる誰かでもいいと思ってしまう自分がいる事に。
いつか・・・いつか飛影を裏切る事になりそうで。
けれど、母さんを捨てて生きる世界を変える程の勇気はない。


「自分勝手だな・・・俺。」


飛影・・・ごめんなさい。
俺はやっぱり・・・ダメかもしれない。




end


2006.1.29の日記より。
飛影ピンチ。(そっち?)
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