薔薇の記憶(過去作品)

□過去SS
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Men's summer


コンコン。
今日もいつものように窓を叩く。
しかし中から出てきたのは普段からは想像もできない姿の恋人。


「いらっしゃぁい・・・」
「おまっ・・・なんて格好してんだっ;!!」


彼は髪はアップ、上半身裸で短パン、スプーンをくわえて窓を開けた。
そのあまりの格好にさすがの飛影も窓の所で固まっている。


「エアコンの調子悪くてさぁ・・・波があるんだよねぇ〜。今冷えない時なの。」
「だからってその格好は・・・」
「だって暑いんらもん。飛影だっていつも上脱いでるでひょ〜?」
「・・・お前と俺とじゃ違うだろ。」
「おんなじ男らもんね。」
「スプーンくわえたまんま喋るな!!」
「飛影うるひゃい・・・」


あぐらをかいてうちわでパタパタあおぎながらアイスを一すくい。
なんとも男らしいその姿に飛影はため息をついた。


「いつもヤってる相手とは思えん・・・」
「何言ってんの。俺は飛影の下や上になってアンアン言ってる蔵馬ですよ。」
「・・・妖狐のバイオリズムか。」
「あ、それもあるかも。」


飛影はすばやくらしくない言葉をもらす彼の唇をふさいだ。


「甘い・・・」
「アイス食べてるんだもん。当たり前。」
「・・・ヤるか。」
「はっ!?暑いって言ってるじゃん!!」
「そんなもん気にならんようにしてやる。」
「ちょっ・・・冗談・・・」
「アンアン言うんだろ?・・・むしろ言いたいんだろ?」
「別に俺はっ・・・///」


暑くて熱くて。
どうしようもないくらい熱を感じて。
頭もぼーっとしちゃって。
アンアン程度で済んだかなぁと思ってしまう程のどが嗄れてて。
タイミングよく治ったエアコンが終わった頃には部屋をいい感じに冷やしてくれてて。





繋がったまま飛影の上に倒れこんでいた蔵馬が飛影の額を撫でてキスをする。


「ねぇ飛影。」
「何だ。」
「部屋も冷えたし・・・」
「冷えたし?」
「もう一回・・・しよっか。」
「現金な奴だ。」


冷えすぎた部屋で、熱すぎる熱を持つ二人。
ちょうどよく中和された頃にはもう朝になっていて。
溶けた食べかけのアイスを見つけて勿体無いと呟きながら。
蔵馬は隣に眠る彼の髪を撫でた。


end

2005.7.29の日記より。
男らしい蔵馬もなかなか。
飛影さんびっくり。
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