御伽噺2(蔵馬メイン小説)

□旅立ちの時
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「俺は強くなる為に躯の元へ行く。俺自身の為にだ。
だから俺はこいつにとやかく言える立場じゃない。」
「大人になりましたね。」

いたずらに笑う蔵馬に飛影は舌打ちした。

「飛影、幽助・・・俺の頼みを聞いて下さい。」
「どうしたんだよ、改まって・・・」
「俺が黄泉の元にいる間、何があっても・・・どんな噂を耳にしても・・・俺を信じて下さい。」

凛としたその声に、そこにいる誰もが息をのんだ。
蔵馬は幽助に視線を投げた後、まっすぐ飛影を見た。

「俺は黄泉の元へ行って、何もないまま時が過ぎるなんて思っていません。
時には自分を殺さなければならない事もあるでしょう。
貴方の存在を心の奥底に隠さないといけない時もあるでしょう。
けれど・・・」

強い風が蔵馬の髪を攫おうとしたが、蔵馬は手でそれを制した。
柔らかくそれは揺れる。


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