御伽噺1(蔵馬メイン小説)

□千年の想い
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「黄泉・・・離して・・・」
「だが、どこにいても浮かんでくるのはお前だった。
お前ならどうするだろう?
お前なら何と言うだろう?
お前ならどんな顔をするのだろう?
そればかり考えていた。」


途端、頬を撫でていた手が後ろにまわされ、抵抗できない力で引き寄せられた。
自然と鼓動が早まる。


「忘れようとしたが無理だった。
お前の声、髪、指、香り・・・全てが俺を捕えたままだ。
何度も忘れようとした。
だがその度にお前を強く求めるようになった。」


黄泉の息がかかる度に体から力が抜けていくようだ。
目の前の顔から目が離せなくなる。
飛影の剣が小さく音をたてたが、黄泉はそれすら気で抑えこむ。
押し返そうと奴の胸に当てた両手には全く力が入らず、代わりにじわりと汗がうかんだ。





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