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寡黙と憂鬱に咲く[13]


25.
夢ではないと分って、高杉は携帯電話をベッドの下に落とした。
無意識の言葉の恐ろしさだ。
羞恥のあまり暴れてよいのか、開き直って次に会った時は顎を突き出していればよいのか。
しかし問題はそれではなく、その無意識が意識となってしまうことのほうだった。

銀ハに連絡しにくい。
単なる言葉遊びだった、ということにしてもらえないだろうか。今更こちらから謝罪の連絡を入れるのも変だ。
ベッドからおりようとして、高杉は一瞬固まる。
あまりに身体が痛い。

昨夜、何の処置もせずにベッドに傾れ込んだのは覚えている。だってとにかく眠かった。
おかげで殴られた部分はそのまま腫れてしまい、今は浅い息を立てている、欲の入口もひりひりしている。
これも今更だが、将来痔になりそうだ、と高杉はため息と苦笑を織り交ぜた。

それはそうと、大学に行かなければならない。

「何だどうしたのだ晋助、その酷い顔は。泥んこ遊びでもしたのか」
「何で保育園的なんだよ」
「お前は昔からヤンチャだったからな。お父さんやお母さんに迷惑ばかりかけて全く…悲しくなっちゃうわ」
「いやお前との付き合いたった3年だし。つうか何でお母さん口調?」
「俺はお前の母親のようなものだからな」
「こんな母親だったら一発でグレるわ。あ、逆だ。ダメなお母さんすぎて、子供がしっかりするパターン」
「何だと貴様」

煩いのと一緒に授業を受けるハメになった、と高杉は無視を決め込む。
ある意味そのウザったさは、今の高杉にとっていささか救いでもあったが。
桂は真面目の典型で、空回りした発言がいつも周囲を呆れさせる。
普段はまともに会話もしたくないが、何故だか今日は、そんな日常が空気のように気持ちよい。
あの暗い夜空の下に長くいたせいで、この昼下がりのひとときに、幸福に似たものすら覚えていた。

それに、先程からずっとそうだ。2つ後ろの土方の視線が痛い。
ストーカーかと思うほどの鋭い目の刃が背中を貫いていて、居心地悪い極まりない。
桂が隣にいてくれて助かった。少しは気分を紛らわすことができた。
わざと土方に自分に近づく隙を与えないよう、ぎりぎりの時間に来て、前の授業が長引いて駆け込んできた桂と、空いている席に座った。
(筋肉ひきつりそう…)
この授業は単位が危うく、出席せざるをえなかった。

色々頭に浮かんだ。帰りたい。服買いたい。バイトに行きたい。
「寝るな晋助」と桂の潜め声が聞こえた。高杉は頬杖をついたまま目を閉じていた。
授業が終わったら、そそくさといなくなろう。大学にどうしても、の用事はない。
急に周囲がざわつき始め、高杉が次に目を開いたときは、チャイムが鳴り終わった後だった。

ぎょっとしたのは、席を立った土方が、真っ先にこちらに向かってきたからだ。

「はよ…」

桂と自分の前に彼は立って、何食わぬ顔でそんな言葉を投げてきた。
こいつ、と高杉は睨みつけた。
何の事情も知らない桂がいる手前、無視するわけにもいかない。

「土方、先程の授業にはいなかったではないか」
「途中からいた」
「遅刻はよくないぞ。では、晋助。俺は先に行くぞ。次の授業があるからな」

え、と高杉は焦燥に駆られた。桂がこの場を去れば、必然的に土方と二人になる。最悪だ。
桂は鞄を片手に、足早に教室を出ていく。
土方をよそに、自分も桂の後を追おうとしたが、腕を掴まれた。
嫌悪のあまり鳥肌が立って、大声をあげそうになるが、

「騒ぐなよ。皆いる」

土方の静かに不気味な一声で、高杉は硬直した。
お互いの知人の目にも曝されているこの場では、どうすることもできない。
教室を出て、土方に無理やり連れられる。

「何処行くんだよ」
「………」
「俺バイトあるから」
「嘘つけ」

土方が冷ややかな顔で振り返ってくる。

「お前はいつも、都合が悪くなると嘘つきやがる。それも平然とっ」

白い歯が諸に見えた。歯ぎしりで顕著になった怒り。
圧倒されそうになるが、高杉も負けまいと、堂々と構えた。

「誰だって自分の身を守るためには嘘つくだろうが」
「身を守るためねえ…俺が今からお前を食い殺すみてえな言い方じゃん。別にそれでもいいけど」
「冗談じゃねえよ」

土方の腕をふりほどいて逃げようとする。


「晋助」


怒号に、思わずつま先が止まる。
土方は静寂な憎悪を全身に漂わせていた。


「ずっと考えてるやるから、お前のこと。朝も夜も、夢の中でも。俺の手でお前が泣きわめいて屈する方法だけを、ずっと考え続けてやる」


精神の呼吸がざわつくのを感じた。
土方が去った後、またあの時の嘔吐感が高杉の面を歪めていく。
平穏な日常の景色。それは目に見える範囲では、の景色かもしれない。
ざわつきが嫌だ。高杉は重すぎる余韻を振り切るように、足早にその場を離れた。


校内はやはり心身に良くなく、知らぬ間に強張っていたらしい。
最後の授業を終える頃には、肩と首が異常にこっていた。
頭痛薬は思春期から世話になっていて、必需品のひとつだ。
視界が赤や黒に点滅する。頭痛の前兆だろう。
高杉はポケットからEVEを取り出し、水の力を借りることなく2粒、口に含んで呑みこむ。
頭痛薬を「ヤク」とわざと呼ぶのも、すっかり定着している。

携帯電話を開く。連絡は誰からもない。
ふと深くついてしまった溜息に自身が困惑した。何を、期待していたのだろうか。
(かけて…みるか…?)
が、脳に指令がはっきり行きわたる前に、やはり頭をふった。

突然こみあげてくるような感情は、何故だか理屈では説明できない。
極端に憂鬱な、たとえば今とかに、偶然にも連絡がくることが多くなった。
気付けば毎日。
そんな偶然が続くだけで、人はそれを頼りにしてしまう傾向にあるらしい。

(らしくもねえ…)

誰にも頼らなかったし、人はいつだってひとりだと知っている。
自分のそばにいる人間がある日突然いなくなるなんて、珍しいことではないのだし。
それなら期待しないほうが辛くない。
こんな溜息だって出ない。

(待つな…)

連絡を、待つな。高杉は自分に言い聞かせる。
さあ早く携帯をしまって何処かに行け。どこへ、自分の家か。
だが自室は妙案ではない。深い迷想に入ってしまいがちだからだ。

こうなると高杉の行き着くところは決まっている。
臆病者の見栄が招く、最も愚かな選択肢だ。自分はいつだって、逃げる側でいたい。
自分は弱い人間だとよく知っているのに、誰に抱かれても平気などとよく言えたものだ。
大抵の人間は騙されて、高杉に誘われ、表向きを愛してくれ、抱いてくれてしまう。

でもお前は。お前ならわかってくれるのでは…?
身体を重ねるうちに、もうすでに、見抜いてくれているのではないか。
ベッドの上で多くの人間に蜜を吸わせて酔わせることで、空っぽの中身を必死に隠しているのだと。
刺青なんて彫って、苦痛に強いフリをしているのだと。
きっと理解してくれて、それでもまだ、強く抱きしめてくれてるのではないか。

いや、そんなはずは。

高杉は風を切った。ああ、なりきれたらいいのに。堕落しきれたら、いいのに。

ああくそ、具合が悪い。
迷子になってしまった。せっかく陽のあたる日常に帰ったのに、また闇に逆戻りだ。

「あ、君さー、時間ある?」

やはり声をかけられた。止まってやる。ルックスなんか見なかった。もう誰でも良い。

「あるよ、たっぷり」

相手の瞳を吸いこんでやる。
酒が入っているのか、目が赤い。顔の作りだけ見れば、それなりの男だろうに。
高杉の肯定の意を聞くと、男は頬を邪に緩める。

「かわいいね」

へらへら笑いながら、慎みもなく高杉の手首を掴んできた。
彼の掌が汗だくなことに気がつく。

高杉はぎょっとした。

自分はなんで、こんな汚い男に手を繋がれているのだ。
呆れるほどの素朴な疑問が、今更のように急激に押し寄せてきた。

「あ…」
「え?」

高杉がふと声をあげた。
何をしたでもない男は、眉を寄せて訊き返す。
高杉の思考の次元は、眼前の男とは別のところに、既にあった。

(俺、何やってんだろ…)

俺はいったい、何がしたいんだろう、銀ハ。

かつてないほどに洗われた思考で、今ここに立っている自分を見据えた。


「離せよ」
「は?」
「離せ。気持ち悪い」


嫌悪感を全身に漲らせて、男を睨みつけた。
乱暴にでも連れていけばよかった。
だが男は、あまりの拒絶ぶりに、自分が人間であることさえ否定されたような拒絶ぶりに、自然と手を離してしまった。

解放された高杉より先に、男はおずおずと引き下がった。
高杉はふわふわと五感が鈍る。

助かった。

そんな気持ちだった。


26.
柄にもなく、うとうとするまでアルコールに頼っていた。
灰皿の中もにぎわっている。
コンビニで買った数缶。2日酔いは避けたくて、比較的度数低めのものを選んだ。
高杉は狭い一室に転がったクッションを抱きしめ、転がっていた。

今何時だろう。
暗欝さより、眠気がようやく勝ちそうで、このまま朝を迎えたいと思った。

「……?」

耳が何かに反応していた。
その音は遠くのほうで聞こえたが、発信源は意外と近かった。
高杉の指先の数歩先にあるバッグ。その中で溺れている音。

(だれだ…こんな時間に)

電話だ。
まさか、と思ったが、期待しかけたものは一瞬のうちに崩れさる。
崩れ去ったあと、あまりの唐突な電話訪問に、目を覚まさざるを得なくなる。
個人のものではない、登録してあった電話番号だ。

タトゥ―スタジオ。

「沖田?」

思わず、通話ボタンを押す前に小さく叫ぶ。
なんだ。一体どうしたのだ。
こんな時間に、しかも彼からの電話はこれが初めてだった。

「…もしもし?」

探るように声を落としてみた。長時間、話す動作を休めていたからか、滑舌がよくなかった。
無言。
緊迫感がさらに張り詰められる。

「沖田か?」

今度は名前で呼ぶ。
店の番号だろうが、おそらく受話器の向こうは一人しかいない。
ざわっと雑音のようなものが弾ける。声の混じった、重い呼吸だと気付いた。

『…、し……っ』
「沖田?」
『苦し、…』

高杉は身を起こす。
切羽詰まったものが伝わってきたが、何とか平静でいようと努めた。

「沖田、だよな?どうしたんだ」
『……咳……』
「咳?」
『とまん…な……』
「咳がとまんねえのか?」
『………』

小さな喘息が聞こえる。無言の頷きに、高杉はクッションを放って膝をつく。

「病院は?」
『………』

また無言。が、高杉も自分から問いかけたあと、はっとして、

「俺が行くまで、持ちそうか?」

言い直した。病院には絶対行かない、と彼は断言してたではないか。

『…れ、るん…です…かい…?』
「え?」
『時間……』
「チャリで行く」

咄嗟に答えた。
自分にもこんな一面があったのだと驚く。
友人のためなら火のなか水のなか、などという感動的な友情劇とは全く異なっているとしても。

「じゃあ切るからな。20分くらいで着けると思う」
『…高す…』
「…晋助、でいい」

自分は沖田に近づきたがっているのか。わからない。
電話をいったん切って、服と髪を整える。酒臭いのが気になってオーラルケアもした。
深夜だ。
こっそり小さな駐輪場から自分の自転車を出し、神経を研ぎ澄ませて走らせた。

慣れた道のりが、別世界に思えた。
こんな夜闇の風を切っている時はたいていセっクスだ。
銀ハや、他の男と、こんな時間に会ったら間違いなく、待ち受けているのはそれしかない。
沖田は違う。
それが彼を特別視している理由かもしれない。

退廃的な門を見る。
ライトがついている。店はCLOSEの看板が出されている。
鍵は?ドアベルは鳴らさないことにした。
ドアノブを引くと、スムーズに開放される。

「沖田?」

店内は明るかったので、すぐに中の状況が把握できた。
沖田がひとり、そこにいた。


「……晋、助……?」


そう呼べと言っときながら、自分が呼ばれたことに気づくのが遅れた。
沖田は倒れてはおらず、棚に配置されている電話の前で項垂れていた。
両手で受話器を抱きしめている。
その手は震えている。

「晋助…ですよ、ね…?」

そう目を丸くする沖田の両頬はげっそりしていた。
目のしたは窪んで、クマを作っている。口のまわりは、血を拭ったあとがあった。

「起きてていいのかよ。電話の時はあんなに…」
「…だって」
「?」
「あんたが来てくれるって、言うから…」

沖田は以前よりうんと、甘えん坊の表情をして高杉を見据えてきた。
自分の知っている彼は、こんなにも無防備に他人を頼ってくる人間だっただろうか。

「とりあえず横になれよ」
「いえ…もう落ち着きやしたんで」

立ちあがった沖田はふらついていない。本当に持ち直したようだ。

「大げさな。飛んできちまったじゃねえかよ」
「血は吐いたんですよ。ホントに苦しかったんで。迷惑かけて、すいやせん…」

沖田は眉をよせて笑う。申し訳ない、というよりは嬉々としていた。

「前はひとりでどうにかなったんですが…今回はどうにも」
「俺が来る前に治ってただろ」
「違うんですよ。あんたがここに来る、って言ってくれたから、気が楽になったんです」

咳が止まった、と嘘のような話を、真摯な眼差しで言ってくる。
疑ってしまうほど今の沖田は、素直すぎる少年だった。
戸惑いながらも、慌てて無駄な体力を使った自分がばかばかしくなり、溜息が毀れてしまう。

「その様子なら大丈夫そうだな」
「帰るんですかい?」
「当たり前だろ」

きっぱり言うと、沖田が急に悲しそうな顔をして、

「あんたが帰ったら…また苦しくなりそうでさあ」

駄々をこねてきた。それも、冗談ではなさそうだ。
“孤独な彫り師だから、人には甘えないだろう”高杉は沖田を見誤っていた。
どんな出で立ちか知らないが、こいつは甘え方を知っている。

「俺より年上とは思えねえな…」
「童顔ですからねえ。あんたのほうが色気もありますし」

それに関しては、本人は何も気にしてないようだった。むしろ、今はそれを利用している。
罠にはめられた気分だった。

「あんたがここにいてくれたら…朝食、俺が用意しやすよ」
「え?」
「ご飯も炊いてありますし、味噌汁も。日本人に優しい朝食をご用意しまさあ」

握りこぶしを作り、腕まくりをしてみせる。
その細い腕を食い荒らす墨の模様が、不気味に美しかった。
沖田の大きな瞳に、お前がいないとダメなんだ、とすがられているようで、高杉は断るに断りきれなくなる。

(まあ、今から帰っても眠れるかどうか…)

自分もひとり過ごすにはきつい夜だった。これも何かの縁、と考えることにした。
のちに、浅はかだったと知る。

「寝室は2階にあるんでさあ。案内しやす」
「2階なんてあったのかココ」
「ええ。1階はあくまでスタジオで、2階がプライベート」

はじめて友達が出来て、家にあげた時のように、弾んだ笑顔を見せる沖田。
沖田の思考回路が全く読めず、高杉は迷路を突き進む心地だった。

「他人に見せるのは、あんたが初めてでさあ」

思わず足を止める。

「それはいくらなんでも」
「本当です。基本的に俺は、赤の他人はアンウェルカムですから」

妙な英語の使い方をする。
ここは素直に、信用されていると受け取っていいものだろうか。

「俺、あんたのこと、もっと薄情な奴かと思ってたんです」
「………」

言い出した言葉の次を待つ。階段をあがったところにドアがある。
鍵はかからない扉なのか、ドアノブをまわすだけで開いた。
否、かからないのではなく、中からしか掛けられない仕組みになっていた。
部屋は、贅沢にも和室だった。
「どうぞ」と沖田に手招かれ、靴をぬいでプライベートルームに踏み込んだ。

「別に侮蔑してたわけじゃありやせん。上辺だけの人間よりかは薄情なほうが、俺も分りやすくていいんだ…」

布団が一式たたまれている。沖田はそれを畳に敷き、くつろぐように言ってくる。

「だから本当のところ、あの電話は望みのない賭けで。あんたが来てくれると思わなくて」
「………」
「びっくりしてるんです」

沖田は透明な瞳を向けてきた。
高杉に対していっさい警戒のない表情だった。

「そもそも何で、俺に電話をかけてきた?」
「………」

沖田の目が泳いだ。明白な答えがないのか、口にすることに躊躇いがあるのか。


「…なんだろ……ああ、望みがないってのは嘘で…俺はたぶん…あんたにたいして、感ずる部分はあって…
あんたが真っ先に浮かんだのは事実かな」


友達もいないし、と沖田が崩れたように笑った。
以前に「俺と似てる」と言われたことを思い出す。
自分と似ている人間は傍に置きたいか、排除したいか、そんな極端な習性が人間にはあるのかもしれない。

「あ、布団一枚なんで。今夜はそこで休んでくだせえ。俺は座布団敷いて寝ますんで」
「いいよ。俺が座布団で」
「いやいや。晋助はお客様ですからねえ。お客様は神様、なんちって」
「くだらねえこと言ってんじゃねえよ」

やっと頬が緩んだ。眠気が押し寄せてくる。
ふわーっと欠伸をしてしまうと、沖田が近づいてきて、

「さあ寝て下せえ。遠慮なく」

高杉を押し倒してきた。一瞬、そんな感覚になってしまった。

「…ヤるのか?」
「…あんたの脳みそは、寝る=セっクスですかい?」

盛大に溜息をつかれた。

「俺は勃ちませんよ。こんなふうに、あんたを組み敷いてても…あんたが、目の前で裸になってもね」
「………」
「だから安心してくだせえ」

そう片方の頬を撫でられた。不思議と、力が抜けてしまった。
沖田は積まれた藍色の座布団を、高杉の布団の隣に並べ、放り投げられていた膝かけをかけ布団代わりにした。

「おい、身体に障るんじゃねえのか」
「平気でさあ。これでもあんたが隣にいて、大分ほっとしてるんで」

穏やかな笑みを向けられると、何も言い返せない。
座布団の上でも、沖田は気持ちよさそうに仰向けになっていた。
高杉も仕方なく布団に入る。枕の高さが気になったが、意識が薄れていくと共に馴染んでいった。

「晋助さあ…」
「ん?」
「あんたホントは…セっクスに疲れちまってるんじゃねえですかい?」

寝返りを打てなくなった。

「……わかんねえ…」

沖田は既に眠っていた。よほど気分が安らいでいるのだろう。

(疲れている…でも……)

目を閉じた。疲れるセっクスばかりじゃない。ああ会いたい。不思議なくらいに。


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