NARUTO
□帰郷
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ナナは一人、窓の外を見てため息をついた。手には文が握られている。敬愛する先生からの手紙なのに、錘が一つ増えたような感覚。
とはいえ、落ち着きを取り戻せたのは良かったと言えるのか。
「ナナ、入っていい?」
「…カカシ…いいよ」
もう来てくれないかもしれないと思っていたカカシは普通にやってきた。
カカシは入った瞬間やつれた顔をしているナナに驚いたが、その理由はなんとなくわかった。
「先生から、文が届いたって?」
「あぁ…」
ナナは無言でその文をカカシの方に差し出した。自分一人で抱えるのが嫌だったのもあるが、カカシには見てもらうべきだと思ったのだ。
「いいの?」
「…ん」
カカシはその文章に目を通した。
…
君が元気にやっていることを信じて、一つ報告したい。
君の父親の兄弟だという人物が今五色の里に来ている。
君の存在を知ったのは最近だそうで、君に会いたがっている。
今は君の関係者として捕えられているが、どうするかは君次第だ。
私は、君を信じている。
…
内容はつまり、五色に戻れと、そういうことだった。
「ナナ…以前、その…初めは親戚に世話してもらったって」
「それは、母の…父側の親戚は、初めてなんだ」
複雑そうなナナの顔は、出来れば会いたくないと言いたげだ。それもそうだろう、今までの親戚たちは結局ナナを捨てたのだから。
しかしこうやって悩むのは、ナナにとって一番の理解者であるダイチが来てほしいと言っているからだ。
「カカシ…俺、これを期に…一回戻った方がいいのかな」
「ナナ、それは…ナナが決めることだ」
「…そ、だよな」
重たそうにため息をつくナナを抱きしめてやりたかった。
その衝動を抑えるために視線を窓の外に移すと、窓に映ったナナの口が動いた。
「カカシ…俺の背中、押してくれるか?」
それは、信頼だった。
「ナナ、大丈夫だ。ナナは、オレの…」
「…うん」
「オレの自慢の、第七班の一員だよ」
ナナは優しく微笑んでいた。
・・・
ナナは明日、五色に帰る。
そうしたら、もう二度と木ノ葉に戻ってこないかもしれない。どんなにナナが嫌いな場所だとしても、故郷であることには違いない。
それでも、カカシにはナナの背中を押すことしか出来なかった。
「良かったな、きっかけが出来て」
「…逃げたって仕方ないのは、わかってたからな」
本当はもう五色なんて忘れたかった。それくらい、嫌なことが多すぎた。
でも、両親のことを知る人がいるなら、それは会うべきなのだと思う。ダイチが報告したというのも、ナナに帰って来て欲しいと思ったからのはずだ。
カカシの家。あまり長くない時間だったが、居心地は悪くなかった。カカシは、ナナにとって初めてダイチ以外に心を許せる人間だった。
「ナナ、最後かもしれないから…言ってもいいか?」
「最後って、大げさな…何?」
カカシはナナに近づくと、その手を握りしめた。体温の低い手はぴく、と震えた。
「本当は、抱きたいと思ってる。ナナの全てを手に入れたいと…ずっと思ってる」
「…そ、…」
何か言おうとして、ナナが押し黙った。一度顔を背けて、それからゆっくりカカシの方を向いて。
「じゃ、さ…俺に気持ちいいセックス教えてよ」
「…え、」
「本当は、気持ちいいものなんだろ…?あんたが…出来るならだけどな…」
…誘われている。
カカシの思考はとりあえず停止した。落ち着け、よく考えろ。
ナナの顔は通常より赤くなっていて、目はカカシをいつも通り睨んでいる。握っていた冷たい手は、熱く、汗ばんでいる。
「い、いいのか!?」
「う…せぇ。いいって言ってんだよ…」
ナナは自分からベッドに腰掛けると、上着を脱いだ。
「どうすんだよ?やんの?やんねぇの?」
「や…やります…!」
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