NARUTO

□サイの苦悩
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*下品なネタ注意




部屋の中に響くのは時計の音だけ。
そんな静かな夜に、ナナは風呂上りのだらしない恰好でベッドに腰掛けていた。

一日すべきことを終えて、後は適当に寝るだけ。とはいえ早く寝すぎるのは時間の無駄な気がして、ベッドに置いた本に手を重ねる。
手に取って開く…そんな何気ない動作を続けようとしたナナは、人の気配を感じてピタと動きを止めた。

「…ナナさん」

続いて聞こえてくるのはこんこんとノックの音。
こんな時間に何なんだと多少怪訝に感じながら、ナナはのそっと立ち上がりドアを開いた。

「こんばんは」
「ん。何だよ、サイ」

そこにいたのは、嘗てサスケが木ノ葉を抜けた時期に共に活動していた友人だった。
短い期間とはいえ第七班として活動していたサイとは、未だに交流を続けている。
ナナのこの家を知っているのも、カカシとサクラ、サイ、サスケの第七班面子くらいだ。
ナルトには口が軽そうだから教えていない。

「少し、お邪魔してもよろしいですか?」
「え、いいけど…」
「緊急事態で」
「は?緊急事態?」

そう言う割に、いつものようにひょうひょうとした態度に変わりはない。
ナナはやはり不思議に思いながらも、何を考えているか分からない男を招き入れた。

「今日は相談と、お願いしたいことがあって来ました」
「ん?なんだよ、珍しいな」

何事に対しても真面目であることは知っているが、こうも直接ナナに相談に来ることはなかったのではないだろうか。

一応年下の、忍としては優秀であるが私生活は心配ごとの多い世間知らずの男の真面目な顔に、ナナの背筋がしゃんと伸びる。
目元に笑みを浮かべたままナナに近付いたサイは、変わらない声色で続けた。

「実は僕、勃起しないんです」

思わず、言葉を失ってサイを凝視する。
けれどサイは何ら恥ずかしいことなど無い様子でナナを見つめ返した。
やっぱりこの男普通じゃない。いや、そんなこと知っていたけれど。

「…」
「女性の体を見ても、興奮出来ない状態にあるんです」

確かに男としてはかなり深刻な問題ではあるのだろうが、それを何故自分に言いに来たのか。
ナナは納得できないまま、さすがにため息を吐いて目を細めた。

「それ…俺に言ってどうするってんだよお前は」
「はい。実は勃起しない理由と勃起させる方法に、一つ心当たりがありまして」
「…何」
「ナナさんの」
「おい待て、それ以上言うな」

嫌な予感がして、咄嗟に掌をサイの方へと向ける。
けれどサイはそんなナナの動作など構うことなく口を開いた。

「過去に一度だけ見た、ナナさんの顔と声が、忘れられていないようなんです」
「っ…お前なあ、それ、思ってても言うんじゃねぇよ」
「すみません。僕も酷いことを言っていると分かってはいるんですが」

本当かよ。と、突っ込みたい気持ちを抑えて、サイを睨み付ける。
過去に一度だけ見た…というのは恐らくナナがサイに手を拘束され、大蛇丸に襲われた時のことだろう。
ナナにとっては忘れてしまいたい、人生の中の汚点の一つだ。
そんなことをサラリと言及しやがったサイは、やはりナナに構うことなくニコリと笑って見せた。

「僕も男なので、いい加減勃起しないこの症状を治す手段を選んでいる場合ではないんです」
「…つまり?」
「ナナさんのエッチしているところを見せて下さい」
「死ねよ」

こんなに意味の分からない言葉は初めて聞いた。
呆れを通り越して怒る気も起きず、ナナは腕を組んで首を横に振った。

「それでもし治っても、それ治ったって言わねぇだろ」
「一度勃起してしまえばこっちのものです」
「人の家で勃起勃起うるせぇ…」

自分を頼ってきた年下の男に、少しでも可愛いところあるじゃないかと思った自分が馬鹿だった。
古傷を容赦なく抉って来る。本当にデリカシーの欠片もない男だ。


「ナナさん、お願いします」
「…」
「ナナさんのせいなんですから」
「っそれ言うかよ…!」

とはいえ、サイの言うことが原因として確かなら、“ナナのせい”に辿り着くのは強ち間違っていない。
ナナは頭をがしがしとかいてから、乱暴にベッドへ腰掛けた。
どうしたらいい。いくら何でもサイの言う通りにやるのは確実に間違っている。


「ナナさん、失礼します」
「は…」

ううんと顎に手を当て考えていたナナの背中が、ぽすんとベッドに倒れた。
そのまま徐に捲られたシャツの下の肌が露わになる。

「触ってみていいですか」
「駄目に決まってんだろ」
「触りますね」

ナナの答えなど元から求めていないらしく、サイは普段と変わらぬ顔でナナの胸を触った。
冷たい掌に、ナナの体が小さく震える。

「ッお前、本当にいい加減にしろ」
「あの時は正面から見れなかったので…綺麗な色ですね」
「そうかよ、満足か?」
「いえ、全然足りません」

慣れない手つきで胸を撫でる掌。と思いきや、指で乳首を抓り、弾く。
ナナは思わず顔をしかめ、サイの頬を軽くぺちと叩いた。

「おい、こら、お前とこういうことするなんて言ってねぇぞ」
「今いい感じなんです。もうちょっと気持ち良い顔できませんか?」
「テメェ…」

冷静になって考えて見ても、やはりこんな方法は間違っている。
何か他にサイを納得させる方法を提示しなくては。

「こっちも脱がせますね」
「サイ!お前な、駄目に決まって…っ」

いろいろと考えていたからか、抵抗が遅れてするりと足からズボンが脱がされた。

チッと舌を打って拳をつくる。その手がサイの顔面にいかなかったのは、サイの表情が少し焦っているように見えたからだ。
いつも無表情、というか感情のない顔をしているサイが。

「ナナさんのはどうしたら勃起しますか?」
「…触れば、すんだろ」
「じゃあ触ります」

ああどうしてこんなことに。
ナナはサイに勝手することを許しかけている自分の頭を片手で押さえた。
サイの手はナナが言った通り、萎えきっているものを握って擦り始めている。

「っ…、は…」

じわじわと広がる刺激に、息を抑えて耐える。
暫く無表情でナナのものを擦り続けたサイは、不思議そうに首を傾げた。

「もっと、気持ち良いって顔してましたよね」
「はあ?」
「もっと声も、すごかったような気がするんですけど」

人の体好き勝手触っておいて、この期に及んで何を。
さすがに殴ってやろうと体を起こそうとしたナナは、ぐいと腰を引かれて再びベッドに沈んだ。
そのまま足を上に持ち上げられ、サイの前で人として見せるべきでない場所が開かれる。

「ばっ!!テメェ…!」
「失礼します」
「ッ!?」

既に大きくなっているナナのそこを手で擦りながら、サイが孔に舌を這わせた。
何を考えてこんなことをしているのかは分からない。
けれどサイの目的通り、ナナの腰は大きく震えた。

「やっぱり、こっちを触った方が気持ち良いですか?」
「いいとか悪いとか…そう言う問題じゃねぇだろ!つか、よくそんなこと出来んなお前…っ」
「まだ、足りないんです」

眉を少し寄せた顔をナナに見せ、それから再び後ろに顔を埋める。
確かに声と表情からサイが本気で悩んでいるということは分かった。

「っ、ホントに、お前…たたないのかよ…」
「駄目なんです。あの時のナナさんの姿が、たぶん衝撃だったんです」

分かってしまった以上、ナナはこのまま帰れと殴り飛ばすことが出来なくなった。
ナナが男に襲われるような、それで気持ち良くなれる人間でなければ起こらなかった事態だ。

罪悪感で許してしまう。
こうやって簡単に人を許してしまう、それが自分の駄目なところだと分かっていても。

「…指、入れろよ」
「はい?」
「そこ、指…」

サイの慣れない触り方ではいくらなんでもたたない。
ナナは自然と自分が気持ち良くなる方法をサイに教えていた。

「こうですか」
「ん、そこ…お腹の方に指、奥…突いて」
「…難しいですね。こうですか?」
「ん!そ、そこ…もっと、強く押して、いいから…」

一瞬気持ちの良いところに触れて、ナナは足をびくと震わせた。
そのナナの動きと顔に、サイも少し身を引いて目を開く。

「いっ…!」
「大丈夫ですか?」
「お、お前は…?いい感じ、かよ…」
「はい。だいぶいい感じです」

残念ながら誰にされても体は素直に反応してしまう。
羞恥心なんぞは既にナナの中から吹き飛んだ。
サイの目的を果たさせてやるだけだ、そう自分に言い聞かせ、自分の股間に手を伸ばす。

「あ、…っ、」
「ナナ、さん」
「ん…、悪い、俺…先にいきそ…ッ」

さっきまで萎えていたのに、もうしっかり固くなっている。
後ろからの刺激はサイの指が上手い事やってくれているから、行為に慣れたナナの体はすぐにとろけた。
強めに自分のものを握りしめ、擦り上げる。

「…っあ!サイ、強く、中押せ…!」
「はい」

サイが言われるままに中に入れていた指を深く押し込む。
本当は指を中で折って、気持ちの良いところをかいて欲しいけれど、達するには十分だ。
後少し、後少し。

「んっ…ん…!」

もう、出る。足の先に力を入れて待ち構える。
その時、ひたすら中で指を動かしていたサイが動きを止めた。

「っ…、サイ?」

快楽の波がすっと引いて、怪訝に思い顔を上げる。
サイはそれまで前のめりにナナの体に被さっていた体を起こしていた。

「たちました」

そう、ただそれだけ静かに言う。
それからすっと指を抜かれ、ナナは不覚にも顔をしかめた。

「有難うございました」
「は…」
「ちょっと抜いて来ますね」

お手洗いお借りします。
そう言って立ち上がったサイが服を脱がされたナナを置いて便所へと消える。

「……」

いや別に入れていいよと言った覚えはないし、それを許す気はない。
これ以上致す気はなかったのだし、サイが目的を果たせたならそれでいい。
とはいえ。

「…っ!!」

一気に羞恥心が全身を駆け巡り、ナナはそのまま動けずにサイの消えた自宅の便所を見つめた。
ついでに中途半端に放置された体のやり場も分からない始末。
ナナは震える手で丁度そこにあった枕を掴むと、思い切りドアに投げつけた。





(終)

2016/05/22

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