NARUTO
□新たなカカシ班
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病院から出て、ナナはこれから何をするか考えていた。先の任務は偶然情報があった時に居合わせたから行けたのだ。
個人的に大蛇丸は気になる。しかしその情報を一つも持っていなかった。
「カカシは暫く動けないし…」
またカカシ班は任務に行けないじゃないか。カカシのいない家に帰っても何も面白くないし。
ぐだぐだとつまらないことを考えながら歩いていると、前方にナルトの姿が見えた。
そういえば、背中で寝たくせにその後、礼の一つも言えていない。ナルトの見つけやすい色彩に感謝しながら、ナナはナルトに近づいて、肩を叩いた。
「ナルト」
「あ!ナナ!もういいのか?」
「あぁ、この前は有難うな」
「そんなのいいってばよ、ていうか!丁度良かった!」
やけに嬉しそうにするナルトを不思議に思っていると、ナルトの向いていた方向にナルトの同期がいることに気付く。大きな犬を連れた少年と、肌の出ている面積がカカシよりも少ない少年。
「あ…えーと、誰だっけ」
「紅先生んとこの、キバとシノだってばよ!」
名前に聞き覚えはある。とはいえ中忍試験で顔を合わせたことがある程度で、個人的に話したことは一度もない。キバもシノも少し緊張した様子で頭を下げた。
「あ、もしかして俺…邪魔したか」
「次の任務のメンバー探してんだ!ナナは来てくれるよな?」
「おいおいナルト。そいつ病み上がりなんじゃねーのか?」
「いや、大丈夫だ。付き合うぜ」
キバは少し心配そうに言ってくれたが、ナナは笑って答えた。
キバとシノには断られたところだったナルトにとっても、何をしようか迷っていたナナにとっても、ここで会えたのは互いに運が良かったというものだが、任務内容を聞いてナナは息を呑んだ。
天地橋というところで、大蛇丸のスパイをしている者とサソリは落ち合うはずだった。そこに行けば大蛇丸の情報が手に入るということだろう。つまり、カカシ班こそ行くべき任務。
「ナナ?どうしたんだってばよ…?」
「大蛇丸…」
大蛇丸に会う、というわけではないのに、その名前を聞くだけで嫌な気持ちになった。肌で感じた殺気を思い出すだけで吐き気がする。
「やっぱり、嫌か?」
「違う。行くよ、大丈夫」
心配そうに覗き込んだナルトの頭をくしゃ、と撫でて笑いかける。何故かナルトではなくキバの方が赤くなった顔を逸らした。
「なんか、痒くねぇ…?」
「キャッ」
それと同時に少し離れたところから悲鳴に近い女の子の声。ナルトとナナがぱっと顔を上げてそちらに目を向けると、壁の端から服が少しはみ出している。
「…ヒナタ?」
ナルトが声をかけに行くと、キバやシノと同じ班のヒナタが顔を赤くしてナルトに見惚れていて。ナナはナルトもなかなかやるじゃないか、と弟でも見ているかのような思いでその背中を見ていた。
・・・
「はぁ…結局断られた…」
「そりゃ、任務くらい入ってて当然だろ」
「そーだけどお」
明らかに沈んだ顔をしているナルトの背中を叩きながら隣を歩く。自然と頬が緩むのは、やはり兄のような思い故か。
一瞬サスケのことを思い出して寂しくなったナナの目に、見知らぬ男が映っていた。
肌が異様に白く、黒く感情の読めない目が印象的な男。
屋根の上、絵を描いているその目が、ナナを捕らえた。
「…ナルト!」
ナルトの体を突き飛ばして、ナナも飛びのける。墨で出来た動物。それは向きを変えてナナに襲いかかった。
「なんだってばよ!?」
「ナルト、あいつだ!」
刀を抜いて切り伏せながら、ナナは屋根の上にいる男を目で示す。ようやくナルトも気付いたようで、男に向かって走り出した。
クナイとクナイのぶつかる音。
ナナは自分の周りの敵を倒してから、二人の戦う屋根の上を見た。誰だか知らないが、木ノ葉の者であるし、敵意は一切見えない。
「誰だって聞いてんだ!」
「…また会うことになるよ、ナルトくん」
何が目的かさっぱりわからないまま、その男はすっと姿を消した。
「ナルト!大丈夫だったか?」
「大丈夫…だけど、なんだアイツ!」
拳を強く握りしめて、歯を食いしばっている。ナナには聞こえなかったが、ナルトはその男に何やらムカツク事を言われたらしい。
辺りを見渡しても姿どころか気配も全て消えている。なんだったのだろう、そう思いながらも二人は引き続き仲間を探しに歩き始めた。
しかし、その男の目的はその日のうちに、すぐわかることとなった。
「ども」
「て…てめーは!」
見知らぬ男に襲われて、その後カカシ班に収集がかかった。
サスケもカカシも欠けたカカシ班は代理二人を投入することになったのだ。つまり、ナルトの努力も無になったわけだが…その代理の一人がついさっき、襲いかかってきた男で。
「さっきはごめんよ。これから同じ班の仲間になる人の実力を知っておきたかったんだ」
「だからって、あのやり方はないだろ…」
「どれくらい援護しなきゃならないタマ無しヤローかわからなかったからね」
ナナの顔が引きつり、ナルトは怒って殴りかかろうとした。
その男、サイはずっと笑顔で、声のトーンにも変化がない。何を考えているのかわからなくて、ナナは仲間になると言われても不信感を拭えなかった。
「ナルト!いきなり喧嘩しないでよ!…でも、アンタ感じ悪いわね」
「そうですか?ボクは好きですよ、あなたのような感じの良いブス」
「んだとー!?」
完全に、ナルトとサクラとナナはサイを仲間として認めることが不可能になった。単純にいけすかない、気に食わない。
その四人の状況に困った顔をしているのが、カカシの代わりを任された男。
「とにかく…これからこのメンバーですぐ任務に入ることになる。ボクはヤマト。君たちも自己紹介して」
任務内容は、天地橋をめざし、大蛇丸の組織に潜入している暁のスパイを拘束し連れ帰ること。大蛇丸とサスケの情報が手に入る大きなチャンスだ。というのに。
「うずまきナルト」
「春野サクラです」
「…五色ナナ」
「サイと言います」
ナルトとサクラはサイを睨み、ナナはもはやソッポを向いて興味も無さげ。サイは最初と変わらずにこにこと笑ったまま。カカシ班は深刻な状況になっていた。
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