黒色の書庫

□小話集
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『焦焔』


ざしゅ ぐちゃり

空が黒い

ぐちゃり ぼちゃ

木が黒い

べちゃり ぼたっ

大地が、くろい


いつの頃だろう
戦が終わった後に見る場所がこういう風に見えてきたのは

槍を握る両の手に生暖かいモノを感じて、見る

刃が赤い

手が赤い

そういえば、初めて戦に出てきた時からこれだけは紅かった


もう一度見た空はひび割れた黒色

もう一度見た木々は乾き生き絶えた黒色


もう一度見た大地は血も涙もないクロイロ
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