メビウスの輪

□第七夜
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朝。

セブ先生にレオを預け終わり、朝食を取りに広間に顔を出し、そして私はハーマイオニーの横、ハリーの斜め、ロンの前の位置の席に座って上級生たちも含めみんながレポートや課題に羽ペンを走らせて片付けている様子を見ながら、私は机の上の大きな皿に盛られていたリンゴを持っていたナイフで皮をすいすい剥いていた。


「イヴ、君は課題をやらなくてもいいの?」
『私、もう昨日の間に全部終わらせたんだ。だからやることないんだよね』


ロンの言葉にそう言って、皮を剥き終えた私は今度は口に運びやすいようにリンゴをカットしていく。

すると私とロンの会話を聞いていたハーマイオニーが私の方に振り返った。


「あら。なら予習は?それなら出来るでしょ?」
『ゴメンね、ハニー。私、予習だけはしたくないの。なんで好き好んで勉強しなきゃならんのさ』
「あら、魔法使いの勉強って凄く楽しいじゃない!」
『気持ちはわかるけど、勉強は勉強でしょ〜?』
「僕、イヴに同意見」


私とハーマイオニーの会話を聞いていたロンがそう口を出し、それを聞いていたハーマイオニーが信じられないという顔でロンを凝視してから自分の課題に戻った。

そんな様子を見ながらも、斬り終わったリンゴを口の中に放りこんでいると、御近所さんから変な呪文が聞こえてきて私もハリーもロンもそちらの方を見る。


「“ウサギの目 ハープの音色 この水を ラム酒に変えよ”!!」


目の前のゴブレットに向けて杖を大ぶりに何度も振り、呪文を区切りながらもそう言う男の子。

一度立ち上がりゴブレットの中身を見ると、彼は再び席に着き、同じ動作、同じ呪文を飽きもせずに繰り返していた。


『あの子って確か……』
「シェーマスだよ。シェーマス・フィネガン」


私の言い淀んだ声に、ロンがそう言って彼の名前を教えてくれた。


「シェーマスはあの水をどうしたいわけ?」
「ラム酒に変えるのさ。昨日はお茶に変わったけど、最初――」


バァンっ!!


「ぅ!」
『……ワォ』


ハリーの質問に応えるロンの言葉を聞いていると、突然の爆発音がして私の横にいたハーマイオニーが小さく声を上げて身をすくませる。

私も驚きながらもシェーマスの方を見れば、彼のゴブレットからは煙が上がり、彼自身酷く焦げ付き頭も爆発した酷い状態となっていた。

その様子に周りにいた生徒も声を上げて笑うのと同じように、私たちも笑ってしまう。

ケタケタとグリフィンドールの席が笑いに包まれる中、ピィッと口笛でも吹いたかのような音が広間に響き渡り、それと同時にロンが表情を輝かせて広間の天井を見上げた。


「あぁ、郵便が来た!」


その声に私やハリー、ハーマイオニーや他の生徒たちも天井を見上げる。

するとわずかに空いていた天井の細い窓からたくさんのフクロウが広間の中に入って来て、空を飛びながらも目当ての生徒たちに郵便をうまい具合に落として行く。

郵便を送ってくれるような肉親が外にいない私とハリーは自分宛の郵便はないがその物珍しい様子をぼんやりと見つめていた。

しかしいつまでもそれを眺めていても仕方がないと二人して思ったのか、ハリーは課題に、私は食べることに再び専念していると、隣に座っているハーマイオニーとロンにも郵便が届けられた。

フクロウから落とされた郵便を見事にキャッチしたロンとハーマイオニーを見つめていると、ロンが家族からの手紙を読みながらも端の方に置いた新聞にハリーが目を止めたことに気付いた。

ハリーはロンに一言断ってから丸められた新聞を開いて中の内容に目を通す。

ハリーが向かいで新聞を呼んでいる間、私はリンゴを食べながらも広間のみんなの会話などをぼんやりと聞く。

そうしていると近くから声が聞こえてきて私はそちらの方を見ながらその内容を聞き入る。


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