旅人と龍

□旅人と龍8
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朝になった。

私は長い髪を一つに縛りながら外に出る。

外にはアラゴルンやギムリ、ガンダルフが揃っていた。


『あはようございます、皆さん』
「おう、娘。早いな」
『娘ではなくリオです。そういえば、こうして改めて話すのは初めてですよね。よろしくお願いします』
「うむ。俺はギムリだ。よろしくな。あと敬語はいらん」
『わかった、ギムリ』


そう言って挨拶を交わした後、ガンダルフを見た。


「おはよう。眠れたかね?」
『はい。ぐっすりと』
「それはよかった。して、ボロミアは?」
『朝様子を見に行きましたが、普通に起きていましたよ?おそらく、フロドたちを迎えに行ったかと』
「そうか。おぬしが言うならそうじゃろうな」


ガンダルフはそう言ってパイプを吹かす。

・・・けっこうなご老体だと思うのだが、体を悪くしないのだろうか・・・。


「リオ」
『あぁ、アラゴルン・・・』


声をかけられて振り向けば、そこにはアラゴルンがいた。


『昨日はありがとう。おかげでスッキリしたよ』
「そうか。なら良かった」
「やぁ、リオ!」
『げ、レゴラス・・・』


キラキラ輝く金髪をなびかせながらこちらにやってきたレゴラスに思わず口元がひくつく。

やっぱコイツ苦手・・・


「あ〜。もう昨日のように着飾った君が見れないと思うととても残念だよ」
『黙れ、変態エルフ』


少々イラつきながらそう切り返すが、さすが腹黒。

私程度では動じない。

くそ、ムカつく・・・。


「おはよう!リオ!!」
「アラゴルンとレゴラスも!!」
『ぐはっ!?』


突如背中に生じた衝撃に振り返ると、メリーとピピンがニコニコと笑って貼りついていた。


『お、重い〜!降りろ〜!!』
「や〜だよ!」
「離れないぞ!」
「こら、#NAME2##に迷惑かけるなよ」


声とともに背中から重みが消える。

ほっと息をついて振り返り、助けてくれた彼に礼を言う。


『ありがとう、フロド。助かった』
「どういたしまして」


フロドはニコリと笑いながら、イタズラ組をアラゴルンの方に放り投げた。

次の標的にされたアラゴルンの声が聞こえるが、誰も助けようとはせず微笑ましげに見ている。


『あ、ボロミアは?』
「サムと一緒だよ。馬を取りに行ったんだ」


そう言ったフロドの視線の先を見ると、サムとボロミア、そして見送りにきたエルロンド卿がこちらに歩いて来た。


「準備はできたか。旅の仲間たちよ」


エルロンド卿の言葉に全員が頷き、気を引き締める。


「そなたたちの行く先に幸があらんことを祈っている」
『最悪な状態になっても、道を切り開けばいい。こちらには、指輪の勇者たちに王、魔法使いに執政、エルフにドワーフ、そしてドラゴンという最強メンバーだ。そう簡単にはくたばらんだろう』


そう言って笑い、私はみんなより先に出て広い場所にでる。


『敵に我らの怖さを味あわせてやろうよ』


その瞬間に私はドラゴンに変化した。

私のドラゴン化した姿に、ボロミア以外が目を見開いて驚く。

ドラゴンと知ってはいても、言葉だけでは信じられなかったのだろう。

皆、顎が外れそうなほど大口を開けている。


「古より存在するドラゴンが味方についたか。だからこそ、敵もリオの力を欲するのじゃろう」


そう言ってガンダルフが杖を握った。


「“霧ふり山脈”の西側に沿って四十日間歩き続ける。運が良ければ、ローハンの谷を抜けれるはずだ。抜けたら道を東にとってモルドールへ向かう」


ガンダルフの言葉に全員が頷いた。


「では、行ってまいれ。旅の仲間たちよ!」


エルロンド卿の言葉に見送られ、私たちは裂け谷を発った。




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