Novel
□ずっとずっと、大好きでした。
1ページ/3ページ
「…ねぇ、翔さん」
俺と翔さん、二人しかいない楽屋で
俺の声が空気を震わせる。
「どうした?」
そしたら翔さんは読んでいた新聞を畳んで
俺のほうを向き、話を聞く体勢に入る。
きっとこういうところが、
あの人の心を捉えたのだろう。
心の中でそう思っていると、
翔さんがもう一度俺に声を掛ける。
「ニノ…?」
「翔さん、おれ…大野さんが好きです」
翔さんの反応を見るのが怖くて、
思わず顔を伏せて話を続ける。
「あなたの恋人だってことは、
ちゃんと分かってるんです。
それにあなたから大野さんを、
奪おうなんて考えてる訳じゃない。
あなたと大野さんがお似合いなのは、
俺が一番分かってるつもりだから…。」
語尾がどんどん小さくなっていく。
その間、翔さんは一言も発しなかった。
.