Novel
□予期せぬ想い。
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バレンタイン編のこちらの続編です。
あのあとすぐに収録だったから、松潤がくれたココアは一口しか飲めなかった。
「…あー、やっぱ冷めてる」
松潤は撮影かなんかですぐ帰って、
一人になった楽屋で呟く。
でも冷めててもいっか。
アイスココアになったんだもんね!
…ごくん。
「うん、やっぱおいし!」
一人でいつまでもいるのもあれだから
帰り支度をして楽屋を後にする。
ココアを飲みながら歩いてたら、
前から見慣れた人物がやってきた。
「あ、相葉くん!お疲れ様ですっ」
「お疲れー、大倉」
そう、前に一度ドラマで共演した
関ジャニ∞の大倉だった。
「あれ、珍しいですね?
相葉くんがココアやなんて」
「あー、うん。さっきもらったの」
俺の手元を見て不思議そうな大倉に言うと
なぜか興味津々な顔をされた。
ん?そんなに俺にココアは変かな?
「なに?」
「あっ、いえ。
可愛い告白やなぁ思いまして」
「こくはく?」
「あれ?もしかして相葉くん、
これに気づいてなかったんすか?」
そう言って大倉が指差すのは、
ココアの缶の底だった。
「さっき飲んでるときにたまたま。
今時こんな子もおるんですねぇ…」
俺も気になって底を見ると見慣れた文字で
“好き”と書かれてあった。
予期せぬ想い。
彼らしい、分かりにくい愛情表現に。
思わず笑みが溢れた。
END.