Novel

□ココアに溶けた、この想い。
1ページ/2ページ




今日は女の子にとって、
1年で1番大事な日かもしれない。

そして俺、松本潤にとっても。
一世一代の勝負の日だったりする。



「あー、どうしよ…やっぱやめよっかな」


自販機の前で考えること、早15分。
きっともう彼は楽屋入りしているだろう。

俺が何を悩んでいるのか。

それはたった1本のココアを、
買うか買うまいかである。


「でもなぁ…、」


最近あの人への想いが制御できない。

楽天家で、だけど繊細なあの人が。
好きで好きで、たまらない。

だから、伝えてみようと思って。

だけど、チョコなんて渡せない。
気持ち悪がられるのは目に見えてるから。

だからこそのココアなんだ。
きっとあの人なら気づかない。

このココアに溶けた、
俺の小さな恋心になんか……。


「……よし、」


覚悟は決まった。
ココアはもう俺の手の中。

さりげなく、さりげなく渡すんだ。


……あ。
かばんの中を漁って、あるものを探す。


「あった…」


それは打ち合わせなんかで使うマジック。

ほんの少しだけ、欲が出たんだと思う。
あの人に気づいてほしいって欲が。

小さな想いに、あの人は気づくだろうか。


「相葉さん………好きだよ、」


ココアに向かって掠れる声で呟いたら、
なぜだか涙が出そうになった。




ココアにけた、このい。
直になんて言えないから。
づいてくれたらいいな、なんて。



                 END.

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ