Novel

□二足歩行
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「ねー、おーちゃん」

「なぁに、あいばちゃん」


楽屋の片隅。
癒しオーラを放つ、30代の男が2人。

いつも通り、他の誰も入れない。
そんな空気を醸し出しながら話していた。

そんな2人に慣れているのか、
気にも止めずに各々過ごす他メンバー。


「どうして人間が、
 二足歩行なのか知ってる?」


相葉のこの言葉に驚いたのは、
肝心の大野以外の3人のほうだった。

珍しく中身のある話だな、
と心の中で思ったからである。


「…んー、分かんない」


大野はというと、予想通りの答え。
すると相葉は嬉しそうに大野に抱きつく。

この行為に他メンバーが、
いらっとしたのは言うまでもない。

でも相葉の口から紡がれる言葉に、
3人はやっとこの行為の意味を察した。


「人はね、大好きな人を抱きしめるために
 二本足で立つようになったんだよ?」


その答えはとてもシンプルでいて。
相葉らしい、微笑ましい答えだった。

きっと他の人なら笑うだろう。

だけど大野は、
そんな相葉を笑ったりなんかしない。


「なんか、素敵だね…」


そう一言呟いて、相葉の背中に手を回す大野はとても穏やかな表情をしていた。

そんな2人にやれやれ…と思いながらも、
メンバーはそっとしておくことにした。





ねぇ、おーちゃん。
俺たち、人間でよかったよね。

だってあなたの温度を、
全身で感じることができるんだから。



                 END.

 

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