Novel
□あなたの幸せ
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「じゃあ2人で適当に
ポーズしてもらっていいですか?」
o:はーい
大野さんが俺の肩に手を乗せる。
2人で笑って…いつも通りふざけて。
でも考えてることは全然、
いつも通りじゃなかったり。
どうしてこんなに
好きになっちゃったのか…とか、
こんなに好きになっちゃう前にさ…
どこかで手は打てなかったのかな…とか。
でも俺がこの道を選んで…、
望んで恋をしたんだから。
たとえ叶わなくても…
気持ちが伝えられないとしても…。
あなたを好きになったこと。
絶対に後悔なんてしないよ……
「はい!オッケーです!
お疲れ様でしたー!」
o:お疲れさまでしたぁ
気付けば撮影は終了していて、
大野さんが心配そうにこちらを見ていた。
o:にの…大丈夫?
n:なにが、ですか?
o:撮影中…珍しくぼーっとしてたから
本当にあなたは変なところ鋭いんですから
n:次の映画の役作りのこと、
考えてただけですよ
o:そっかぁ。
なんかあったらおいらに言えよ?
まぁ役に立つか分かんねぇけどさ
まったく、あなたって人は…。
どうしてそうも、
俺の気を引くのが上手いんですかね…?
n:本当ですよ。
それにオジサンに話すくらいなら
潤くんに話しますって。
だけど…、ありがとね。
o:ふふっ…にのは本当にかわいーなぁ
大野さんが俺の頭を優しく撫でる。
n:…っ!
翔さん、待ってるんでしょ?
早く行ってあげなさいよ
o:やっべぇ!!そーだった!
じゃあにの、またね!
n:はいはい…
楽しんできてくださいね
o:うん!じゃーね!
そう言ってあなたはまっすぐに、
翔さんがいるであろう楽屋に
駆けていった。
あなたの言葉や行動一つに
一喜一憂する俺は、本当にバカですね…。
「彼と幸せになって」「俺の側にいてよ」
「このままずっと…、こうしていれたら」
あなたへの溢れんばかりの想いに、
俺の心はパンクしちゃいそうだよ……。