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□神の下で禁忌を
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真っ白な彼に目を見張った。
俺は神様を信じていたから、天使が現れたのかと思った。

そのあと彼と戦って、負けて、酷く足蹴にされて、

あぁ、天使だなんて、これほどまでに彼にそぐわない言葉はないと思った。
けれども彼がそれほどまでに美しく見えたのだ。


それから、どこか頭の片隅には彼のことがあって、
いつの間にか、四六時中彼のことを考えていてた。

それが恋だと気が付いたときにはもう遅い。
俺は彼のことを想って涙まで流すようになっていた。





夜の教会にコツコツと二人分の足音が響く。
十字架とともに掲げられた銅像は、ステンドグラスの窓から差し込む月光に照らされている。
銅像が祭壇の上から俺を冷たく見下ろしているような気がした。

神の像の前で向かい合う。

彼はやっぱり白い服を着ていた。
青白い月光に照らされたそれは静かに、厳かに、美しく見えた。
それを何処か汚したいと思う自分に涙が出た。
涙は何故か止まらず、俺の顔を汚していった。


俺はみっともなくも泣きながら、

好きだ、好きだ、愛してる、
俺は男だけれども、男のお前を愛してしていると、

全部全部全部、

全部言ってしまえば、月の光に照らされる神の眼も、少しは優しくなるのかな、なんて思いながら、

自分の想いをぶちまけた。

そうすればきっと俺は許されるから。
あの潔癖の彼が同性愛者だなんてあってよいはずがない!

彼はそれを聞いて下がった眉を更に下げ、口を開いたので、

嗚呼、これでやっと救われる。

そう思って彼の言葉を聞いたのに、




彼の答えは、


神の下で禁忌
(彼は天使などではなく、私をを救ってはくれませんでした。)



俺は喜びと絶望の涙を流しながら、真っ白な彼を縋るように抱きしめた。

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