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□優しさなんて天国に捨ててこいよ
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美しい花。


悲しいね悲しいね悲しいねそう言って花が笑う。


「死んだらこんな所に行きたいね。」

満面の花と子供達の笑い声。
なんて清らかで美しい。

「天国なんてないでしょ。」
だって神様なんていないんだから。
「力が全てよ。」

天国に行きそこなった君は頑なに否定的だけれども、それでも君は天国に居たんだと思うよ。
「だって幸せでしょ?所謂天国なんかより。」

ロベリアは微笑みながら目を伏せた。

「全てはウォルターのために。」

花は笑った。

「幸せが天国だよ。」

「そうかもね。あの子を残していくなんて、そんなもの、」

天国などになりえない。

呟いた彼女は背を向けて。

「じゃあ、行きましょう。」


そう言って見えない沢山の子供に囲まれていってしまった。

バイバイ、小さく呟いた。

天国がないならもう会う場所もない。

そうして彼女はいなくなった



「天国なんてないんじゃなかったの。」
まだ新しい墓を見下ろして呟いた。

君は天国を見つけちゃったんだよ。
幸せそうにしちゃってさ。
もう戻って来れないね。

君の人生は二回とも彼のためにあるみたい。
二回目の死だって彼のため。

一度ぐらい他の誰かのために生きてくれても良かったのに。

優しさなんて捨ててさ。


優しさなんて天国に捨ててこいよ

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