汎神論
□大空の親子
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「ふぁ…何、これ。今日誰か来るの?」
「アラウ、おはよ。今日はアリアがくるんだよ」
「そうなんだ。……ん、うまい」
テーブルに並べられた料理からつまんで口に入れたアラウディは短い感想を述べた。それだけでも嬉しいと感じるのはやはり彼のことが好きだから故なのだろう
「恭弥兄さま、おはようございます」
「アラウ様もおはようございます」
「おはよ、ユニ、尊」
「……きた。迎えにいってくる」
「いってらっしゃい」
部屋を出て行ったアラウディを見送ってからユニと尊を見ると二人とも笑顔を浮かべていた
「(ジッリョネロにはいつ頃公にするんだか……)」
「恭弥様、アリアさんって、どんな方ですか?」
「ああ、そっか。尊は初めて会うんだね。アリアは僕の姉みたいな存在の人だよ
男らしいというか、勇ましいというか。母は強しってあの人にこそふさわしいと思うね」
「お母さん、一緒に住んでいた時に恭弥兄さまの話をいっぱいしていただきました」
「アリアが?」
「はい。恭弥兄さまは誰にも頼らないから強くも弱くもある、と
あと昔から料理がお上手だとか、お菓子は極上だとか、性格以外は非の打ち所がないとか」
それはつまり性格に難ありだとでも言いたいのか、アリア…別に直すつもりはないけどさ
「おっじゃましまーす!」
「お母さん!」
「ユニ、元気そうでよかったわ。恭弥君のところだから過度な心配はしてないけどね」
「やぁ、アリア」
「恭弥君、アラウディさん、ユニが世話になってるわね」
「ただの恩返しだから気にしないでよ、アリア」
「ありがと!君が諏訪尊君ね
ユニの母親のアリアです」
「はじめまして!諏訪尊です」
「可愛い〜!二人の息子みたいね」
「そ、そんな!僕なんてまだ二人に及びません!」
「謙遜しなくてもいいよ、尊。アリア、ジッリョネロはどうなんだい」
「どう、ってγが頑張ってくれてるから特に心配いらないわね
私にもしものことがあってから、ユニのことを教えてあげて。γは塞ぎ込んじゃうだろうからオブラートに包んで、ね?」
「僕だってそこまで不躾じゃないよ。ユニと積もる話もあるだろうからしておいで
まだ夕食が出来上がるまで15分くらいかかるから」
「そうさせてもらうわ。ユニ、いきましょ!」
「はい!尊、できたら呼びにきてください!」
「うん!呼びにいくね!」
手を振る尊と振り返すユニの仲睦まじい姿を見てから視線をアラウに向けると少し寂しげな瞳を向けていた
「……どうしたの、アラウ」
「ん?いや…避けたい未来ほど避けられないんだな、と思ってね
また僕は知り合いを看取るんだろうなって思っただけ」
「もしかしてアリアさん……」
「うん、考えてる通りだよ。ユニも知ってるだろうね
尊、このお皿をテーブルの真ん中に運んでくれる?」
「はーい!」
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