汎神論

□大空の親子
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「その時にお母様と話していたんです、好きな人ができたら恭弥さんに会わせなさい、って」


数年前にアリアがユニに会いに来た時、部屋でこういう話をしていたのだと彼女が話し始めてその真意に首を傾げる


「僕に?」


「はい。恭弥さんのお眼鏡に叶うか、咬み殺されずに済む人じゃないとダメって言われました」


「アリアも言うね…全く」


「でも他人ごとではないんだろ?僕はそこらへんのやつに彼女を嫁にやるほど甘くはないよ」


ドンッと言い張るアラウディに否定はしない。一時期とはいえ預かっていたのだし…
少なくとも僕に気圧されない奴くらいじゃないと許さなかっただろう


「γは恭弥さんのお眼鏡に叶いましたか?」


「……はぁ…。意思の強さや君を守ろうとする気持ちは酌むよ」


「!」


「君がこれから何をしようとするのかはわかってる。僕たちは君が死なないように最善を尽くしてあげる」


「ユニ、アリアの言葉は忘れないで。ルーチェやセピラの時もそうだったけど
辛い時こそ笑えばいい。嬉しい時も悲しい時も、彼女達は笑っていた
その気持ちだけは忘れないで」


アラウディがユニに帽子を乗せて微笑むと彼女は笑顔を見せた
アリア、君は僕の自慢の姉のような人だったよ。君の笑顔に救われたように、ユニの笑顔に救われる人が現れますように


「恭弥、白蘭が気づいたようだ」


「そう……じゃあ僕たちも行こうか。彼女たちが守ってきた大切なものを失わない為に」



【ユニが戦地に赴く数時間前の話】


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