汎神論
□少年の旅立ち
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「孤児院を見てくる」
そう告げられたのはヴァリアー邸で幹部達が珍しく全員が揃って朝食を取り終えた時だった
「孤児院って、君の風紀財団が投資しているヴェネチアにある孤児院かい?」
「うん。ちょうど、ヴェネチアに任務があるしね」
「王子も行きたい」
「ベルはやめておけ。うるせぇ」
「そこまであそこは煩くねぇぞぉ?」
「ボスとスクアーロ、行ったことあるの?どんな子達がいるのかしら?」
「15くらいの時だったか、恭弥に懐いた家無しの孤児のガキ共を集めて養ってたやつらだぁ」
「家無しってこともあって良識があったり、将来のこともしっかり考えている子達もいてね
今日はそのうちの一人を引き取るんだよ」
「引き取る?では、お前が養うのか?」
「まぁね。少し気になる子がいてさ…
手元に置いておくと面白いんじゃないかな、って」
恭弥が微笑むとスクアーロは内心でその引き取られるであろう子供に同情する
「(恭弥のこの笑みはロクなことがねぇぞぉ……)」
「じゃ、行ってくるから留守番ヨロシク
特に、ベルとマーモン。アジトで暴れないこと、あとXANXUS、僕が帰るまでに肉を漁らないこと」
釘を刺されたベルとマーモン、XANXUSは渋々頷くのを確認して恭弥はコートを羽織り窓から出て行った
「(ゔぉぉい……いい加減玄関から出ていけよ)」
「アラウ、いるかい」
「ん、いる。…ふわぁ……あの子を引き取るのかい」
恭弥の隣にふわりと現れたアラウディは一つ欠伸をしてから今日の【やるべきこと】を確認すると恭弥は肯定の意を示した
「うん。見込みがあるし、将来有望」
「(未来でも必要な人材ではあるから止めないけど)
…まぁ、あの子なら僕達の邪魔とかしなさそうだ」
「確かに。先を急ごうか」
「そうだね」
恭弥とアラウディは指を絡ませて歩みを進めていく