暗殺部隊の雲と霧と…
□赤ん坊との再会
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「うぅ……
この戦いでたくさんの人が傷ついて…山本のお父さんも、他のパラレルワールドでも…多くの人が死んじゃって…。勝ったは勝ったけど…もうこんなメチャクチャで……本当に…、…勝った意味なんてあったのかな…?」
「ツナ…」
「綱吉……」
「大ありに決まってんでしょ、沢田綱吉。ユニが守ったのは計り知れない大きなものだよ」
「つっ、あちっ」
「なんだこりゃ!?」
「!」
恭弥が叱責した直後におしゃぶりの周りにいた大猿と野猿が声をあげると恭弥はそちらに勢いよく振り返る
「よくやったな、沢田!!コラ!!」
「この声!!」
「あ……っ」
「コロネロがいる!!…ってことは!!」
「アルコバレーノが…ついに復活したのか!!」
「マーモン!!」
「むぎゅっ!!きょ、恭弥!」
マーモンの姿を見つけるなり座り込んで思い切り抱きしめた恭弥の目には薄い幕が張っていた
「よかった…よかった……っ、マーモン…!!」
「!!……ごめんね」
「ううん…マーモンが戻ってきただけで嬉しい……っ」
「ただいま……」
「おかえり、マーモン」
「てめーら、おせーぞ」
「なにを、リボーン!!…センパイ…」
「まーまて、スカル。コラ!」
「本当にみんな赤ん坊だ…」
「事情はすべてわかってるぜ。おしゃぶり状態のオレ達にユニが炎を通して教えてくれたからな」
「ユニが?」
「ええ。ユニは白蘭が倒された場合、世界にどのような影響が起きるのかも我々に教えてくれました
白蘭が倒された今、持ち主を失ったマーレリングの力も無効化されました
それにより白蘭がマーレリングによって引き起こした出来事は全て…全パラレルワールドのあらゆる過去に遡り抹消されるのです」
「つまり、白蘭のやった悪事は昔のこともきれいさっぱり跡形もなくなくなるんだぜ、コラ!!」
「え!?そ…それって…ミルフィオーレに殺された人達や山本のお父さんも!?」
「恐らく死んだこと自体がなかったことになるだろうな」
「「わーー!!」」
「オヤジが…」
全員が感傷に浸る中、恭弥はマーモンから手を離して静かに立ち上がる
「ちょ…ちょっとゴメンよ。水をさすつもりはないんだが…そんな時空の法則を無視したことが起こりうるのかな…計算が合うのかな?なんて…」
「愚か者め。トゥリニセッテの起こす現象は人知を遥かに超えているのだ。人間がコンピューターでピコピコ計算している内は答え合わせなど無意味なのだよ
トゥリニセッテを語るに限っては現在の我々の持ち合わせる言葉では、【奇跡】や【何者かの意志】がいまだ適当なのだ」
「は…はあ…」
「心配はいらない。トゥリニセッテを創った人物がそれを調節してくれる」
「へっ?」
「人外ならば人のできないことを行うのは造作もないってこと」
「…でもまた白蘭みたいな奴が出てきてマーレリングを使いだしたらどうしよう…」
「それを防ぐためにユニは命をかけたのです」
「え!?」
「ユニは自分のおしゃぶりに宿した【命の炎】を復活した我らアルコバレーノ全員の最大奥義により永久発火させ、過去の…つまり、あなたの時代のマーレリングを永遠に封印させるつもりです」
「過去のマーレリングを…封印?……そんなこと…」
「ユニはその奥義をオレ達に託したんだぜ」
「彼女は命がけで、永遠の平和を作ろうとしたのです」
「ユニのやつ…【平和な過去】へ帰れるって言ってたもんな」
「(ユニ…ありがとう)」
空を見上げる綱吉に恭弥はクルリと身を翻してその場から去って行く