紅の十字架

□黒猫様は御用心
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「……おい、何やってる」


「ユウ!ねぇねぇ、似合ってる?似合ってる?」


朝の鍛錬を終えて部屋に戻ると先程リナに連れていかれた恭弥が黒猫の耳と首輪をつけた姿でこちらに飛び込んできた


「何やってんのか、って聞いたんだ」


「リナがね、今日はハロウィン?っていうのだから、仮装をするんだって聞いたから

ってことでTrick or Treat!」


そういうことか。あいつの考えることらしいと言えば確かにそうだが……
菓子か……そういや、昨日マリに渡された菓子折りがあったな
棚の中からそのうちの一つを渡すと恭弥は美味しそうに頬張った


「俺からも言うか。…恭弥、Trick or Treat」


「えっ、ユウは仮装してないじゃない」


「知るか。持ってないなら悪戯するぞ」


「……ない。作ったお菓子、全部配っちゃった」


「誰に配ったんだ」


「アレンとかリナ、ラビとかブックマン…マリやデイシャ、クロス達に
ユウは仮装してないだろうから言わないと思って用意してなかったのに……」


「(あいつら…後で斬る)
悪い黒猫には悪戯しねェとな?」


「へっ?」


キョトンとした恭弥をベッドに押し倒せばだんだんと赤くなっていきパクパクと口を開く恭弥が小動物、いや黒猫に見えた


「ユ、ユウ……?」


「菓子を渡したってことは俺以外の奴にもその格好を見せたんだろ?」


「うん…それがどうかしたの?」


「お前は飼い猫だ。他の奴らに媚び売るんじゃねェよ
首輪だけじゃ足りねェみてぇだから所有物の証拠でもつけとくか…」


そう告げて恭弥の首筋に痕をつけるとちょっとした優越感が込み上げる


「愛してる……」


「えへへ…僕もユウが大好き」


そう言って笑った目の前の危なっかしい黒猫を抱きしめた
翌日菓子の詰め合わせが綺麗にラッピングされているのを見つけてワザとないと嘘を吐いた恭弥が更に愛おしくなったのは別の話だが


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