すべてが終わってしまう前に

□見返してやってください
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「あ、藍っち。今から誠凛の皆さんを迎えに行くんスけど、藍っちも行くっスか?」


ドリンクを作り終えた恭の元に歩いてきたのは海常のエースであり、【キセキの世代】の一人である黄瀬涼太だった


「…行くよ。迷子にでもなられると困るしね
涼太、どうだった。この前行ったんでしょ、誠凛」


「んー…正直な感想、拍子抜けっスね」


「そうなの?」


「まぁ…1on1だったから今日はどうなるか分からないんスけどね」


「ふぅん……」


特に興味なさげに短く返すと黄瀬が恭の首に手を回して後ろから抱きついた


「……涼太」


「充電っス」


「…彼ら、誠凛でしょ」


恭の指差した先にいたのはユニフォームを着た誠凛メンバーだった


「久しぶり、テツヤ」


「……お久しぶりです、藍川さん。相変わらず黄瀬君に懐かれてますね」


「え、黒子の知り合い!?」


「どうも。今日はよろしくお願いします。海常バスケ部のマネージャーしてます、藍川恭
ちなみにテツヤとは中学での友人です」


軽く微笑んだ恭に誠凛の彼らは
赤面する


「そして黄瀬君の彼女です」


「「「ええ〜っ!?」」」


「広いのでお迎えにあがりました。どうぞこちらへ」


「黒子っち〜、あんなアッサリフるから…毎晩枕を濡らしてるんスよ、も〜…」


「(彼女の前でそんなこと言っていいのか!?)」


「あ、日常なんで。でも…」


「女の子にもフられたことないんスよ〜?藍っちからもOKもらったし」


「…サラッとイヤミ言うのやめてもらえますか」


「ということで、黙れ涼太」


「いてっ!」


腹に拳を沈めながら恭は黒子へと向き直った。隣では黄瀬が悶絶しているが彼女は露知らず


「何ヶ月ぶりかな…全中以来だから、だいたい七ヶ月かな?
相変わらず、身体能力は著しく低いね。少食直さないとスタミナつかないよ」


「すみません…」


「いや、謝られても困るんだけど……
それにしても…君、中々の身体だね。身体能力がスバ抜けてる」


「マジっスか?……藍っちや黒子っちにあそこまで言わせるキミには…ちょっと興味あるんス
【キセキの世代】なんて呼び名に別にこ
だわりとかはないんスけど…あんだけハッキリケンカ売られたり、藍っちを驚かされちゃあね…
オレもそこまで人間できてないんで…悪いけど、本気でツブすっスよ」


「ったりめーだ」


「…ねぇ、黒子君。彼女はいったい……」


「藍川さんは…カントクと同じような眼を持っています。中学では各個人ごとのメニューを組んでいましたが…彼女はその特技に特化していたので、主将のお気に入りでした」


「!…なるほどね。ある意味私のライバルってわけか」


「あ、ここっス」


「…って、え?……片面…でやるの?」


「もう片面は練習中…?」

「てかコッチ側のゴールは年季入ってんな…」


「ああ、来たか。ヨロシク
今日はこっちだけでやってもらえるかな」


「(…………)
こちらこそ、よろしくお願いします。…で、あの…これは…?」


「藍川、説明してやれ」


「はい。今日の練習試合は海常の軽い調整のつもりです。出ない部員には見学させるのも時間の無駄かと配慮し、無駄をなくすため、他の部員達には練習していただいています」


「だが、調整と
は言っても、ウチのレギュラーのだ。トリプルスコアなどにならないように頼むよ」


「……藍川さん、何を考えているんです?」


「何も。あえて言うなら、君たちをテストさせていただく、かな」


「テスト、ですか」


「【キセキの世代】を倒すって涼太聞いてね。それに見合う実力を伴っているか、というテストだよ」


「…………」


「(ナメやがって……。つまりは【練習の片手間に相手してやる】ってことかよ…」


「…ん?何、ユニフォーム着とるんだ?藍川から聞かなかったのか?黄瀬、オマエは出さんぞ!」


「え?藍っちから何も聞いてないっスよ?」


「あ、忘れてた。涼太は今回、出れないよ。まぁ、アクシデントがあれば別だけど」


「各中学のエース達がごろごろいる海常(ウチ)の中でも、オマエと藍川は格が違うんだ。藍川はマネージャーだからいいが…」


「ちょっ、カントク。やめて、そーゆー言い方マジやめて」


「黄瀬抜きのレギュラーの相手も務まらんかもしれんのに…出したら試合にもならなくなってしまうよ」


「なっ…」


「あ
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