すべてが終わってしまう前に
□見返してやってください
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「火神でも歯がたたない黄瀬の弱点が、パス回し以外コート上で最弱の…黒子…!?」
「(……確かに、僕には理屈ではわかっていてもテツヤがはっきり見えるわけじゃない。だからはっきりとした対処法も指示することはできない
だからといって、涼太の弱点…とは言い切れない)」
「……で?確かに黒子っちのプレイだけは見てもムリっス。けどそれで何が変わるってゆーんスか?」
【第1Q終了ー!休憩2分です!】
「変わるさ!次の第2Qでホエヅラかかせてやる!
マネージャー、あんたも高みの見物はそろそろお開きにしてもらう!ナメた態度ばっかとってんじゃねーぞ」
第1Qが終了し、誠凛が27点、海常が35点で海常がリードしていた。恭は厳しい表情で誠凛側のベンチを見ている
「ったく、もっと点差つけれたぞ!何やってんだ!」
「「はい!」」
「基本がなってねーんだよ!ハンズアップ!スクリーンアウト!リバウンド!
高さが勝ってんだから、リバウンド抑えてくんだよ!」
「「はい!」」
監督に叱咤されながらも海常の部員達は大きく返事する。次に監督が目を向けた先には考え込んでいる恭。しかし彼女は監督の視線に気づいていな
い
「………」
「藍川」
「…………」
「藍川!!!」
「!!は、はい!」
「藍っち……大丈夫っスか?」
「大丈夫。…少し考え事してた
……最初、危惧していたことは未だ起こってはいませんが、これから起こらないとも限らないので言っておきます
あの10番とテツヤが連携を組まれること…。彼らが組めば抜くのは困難でしょう
そして、涼太。心底アイツにムカついた。あの10番、ぶっ潰す!」
今まで纏っていた雰囲気が一変したのを見て黄瀬は内心顔を引きつらせた
「(うっわ、藍っちがキレるとか何ヶ月ぶりっスかね……)
わかったっス。ちょっとオレも自分の彼女を悪く言われてカチンときたんで」
「お、おい…藍川…」
「笠松センパイ、止めないほうがいいっスよ。キレた藍っち止めることが出来るのはオレが知る限り、一人しかいないんで」
「あぁ?」
「ぶっ潰して平伏してもらう。そして、咬み殺す
…僕を下に見るのは何人たりとも許すものか」
【第2Q始めます!】
休憩が終わり再びコート上では誠凛にボールが回っている
「(海常ディフェンスはマンツーのまま…よし)」
ボールが回ってきた
火神の前で身構える黄瀬は口を開いた
「……!何か、変わったんスよね?
(……?ただのドライブー?またフェイダウェイとか…?)」
ボールをドリブルしていた火神は右側へとボールをついた。そこで恭は意図を理解したのか声をあげる
「違う…涼太、テツヤだ!!」
「!?」
右側へと放られたボールは黒子の手元にいき、彼の得意のパス回しにより再び火神にボールが渡った
「(黒子っちと、連携でーー!?)」
「一番危惧してたのがこのタイミングで……っ」
火神と黒子の連携に恭は小さく歯噛みする。6点差に縮まり再び火神がパスをすると先にはやはり黒子
「また…スか!?(同じ手はーー…)」
「あっ!!?」
「3P……!?」
「来たぁ、3Pーーー!!」
「3点差!!!」
「…3Pのあの精度……真太郎までは届かないものの、相当打ち込んでる。後半も気は抜けないね…それより、」
「10番だ。抜くパターンに11番の中継パスを組みこんできやがった」
「……?
パスもらうだけだった10番がパスするようになっただけだろ?そこまで変わるのか?」
「えらい違いだよ、バカ!」
「(今まではテ
ツヤのパスとあの10番の1on1はあくまでも別々の攻撃パターン…ただの二択に過ぎない。しかし、パスが繋がったことで互いの選択肢が増え、バリエーションも増えるだけでなく前よりも一段上の攻撃力となる
しかも、その要のテツヤは涼太が動きをコピーできない、いわば天敵にも等しい……。でも、このタイミングってことはそこまで連携はできていないはず…)」
恭が思考を巡らせてから結果に行き着くと自身を落ち着かせるように目を閉じた
「黒子っち…」
「…………」
「…黄瀬君は強いです。ボクはおろか、火神君でも歯が立たない
…けど、力を合わせれば…二人でなら戦える」
「……。やっぱ黒子っち、変わったっスね…
帝光時代にこんなバスケはなかった。…けど、そっちもオレや藍っちを止められない!」
「勝つことがすべてなんだから、涼太や僕は君達には負けない…そして、」
「「勝つのは(オレ/僕)達(っスよ/だ)…!!」」
「黒子っちの連携をお返しをすんのはできないっスけど、黒子っちが40分フルに保たない以上…結局後半ジリ貧になるだけじゃないスか」
3点差まで縮められた点数を恭は一瞥してから黄瀬に視線を戻すとその