すべてが終わってしまう前に
□見返してやってください
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「予想以上のハイペースなのできっと彼の効力は失いつつあります」
「あ、効力ってのはミスディレクションっス。彼のミスディレクションは40分フルには発動できないんス」
「ミスディ…何!?」
「ミスディレクション、テツヤ…主将達の言う11番のカゲの薄さは魔法なんかじゃありません」
「まぁ、ザックリ言えば、他に気をそらしてるだけ。一瞬ならオレでもできます
・・
オレを見ててください」
黄瀬が足元にあったボールを右手に取るとそれを空中に放る。ボールが手を離れるまで黄瀬を見ていた笠松はボールばかりに目が行き黄瀬から目を離した
「ホラ、もう見てない」
「あ!」
「テツヤはこれを継続的に並外れた観察眼と併用することにより同じことを行っています。なので消えた、と錯覚してしまうほど自分を薄くすることでパスの中継役になっています」
「まあ、やんなくても元からカゲはウスいんスけど…。けど、使いすぎれば慣れられて、効果はどんどん薄まっていくんス」
「根拠はここからです
そして、私があのチームの監督だとしたらきってディフェンスのマンツーからゾーンに切り替えます。涼太を阻止しようと自棄になります。
そして、テツヤのペースを落とさせます…下手すれば、ボックスワンになる可能性も予想されますので先輩方、そんな舐められたことになれば見返してやってください」
「おう!」
恭が予想を述べると同時に誠凛のTOが終了し、試合が再開される
「お?やっぱ藍っち、すげぇスね」
言葉通りに中を固めてきた誠凛に黄瀬は感嘆の意を漏らした
「(てか、藍川の予想通りほぼボックスワンだな。10番をみんなでフォローしてとにかく黄瀬を止めようってカンジか)
……やんなるぜ、まったく」
笠松が3Pラインから放り投げると綺麗にゴールが決められる
「おお、一蹴の3P!!」
「「いいぞいいぞ笠松!!いいぞいいぞ笠松!!」」
「海常レギュラー、ナメてんのか?ヌリぃにも程があるぜ」
「僕がマネジしてるんだ。涼太だけがズバ抜けてるわけじゃないよ。……そろそろ、かな」
自慢気にほくそ笑んだ恭は手元の腕時計を見て小さく呟いた。コートでは黒子のミスディレクションに慣れてきた海常が中継パスを止めていき差が少しずつひらかれていく
【アウト・オブ・バウンズ!!白ボール!!】
「…そろそろ諦めたらどっスか?今のキミじ
ゃ、《キセキの世代》に挑むとか10年早えっスわ」
「なんだと……!?」
「この試合、もう点差が開くことはあっても縮まることはないっスよ
チームとしての陣形(フォーメーション)や戦略以前に、まずバスケは《体格のスポーツ》
誠凛(キミら)と海常(ウチ)じゃ5人の基本性能(スペック)が違いすぎる。唯一対抗できる可能性があったのはキミっスけど、だいたい実力はわかったっス。潜在能力(ポテンシャル)は認める。けどオレには及ばない。キミがどんな技をやろうと見ればオレはすぐ倍返しできる
どう足掻いても、オレには勝てねぇスよ。ま…現実は甘くないってことスよ」
「く…っ、クックック…ハッハ…ハハハハハ……!!」
「……?」
「何笑ってるの…。ついに頭沸いた…?」
「ワリーワリー。ちょっと嬉しくてさァ…そーゆーこと言ってくれる奴、久しぶりだったから」
「……!?」
「むこう(アメリカ)じゃそれがフツーなんだけどな」
「え!?アメリカいたの!?すげぇっっ」
「通りでめちゃくちゃなプレーのなわけだ。しかし本場仕込みだったとは…」
「日本帰ってバスケから離れたのは早トチリだったわ。ハリ出るぜ
、マジで。やっぱ人生、挑戦してナンボじゃん
強ぇ奴がいねーと生きがいになんねーだろが。勝てねェぐらいがちょうどいい
まだまだ!これからだろ!聞いてねぇゴタク並べんのは早ーんじゃねーの
…おかげでわかったぜ、オマエの弱点」
「!?」
「……まさか」
「自分から言い出しづらかったのも、ちょっとわかるわ」
火神は周りを見回し何かを探していたがそばにいた黒子の襟足を掴むと自分のところまで連れてくる
「見ればできる?見えなかったら?そもそも、元からウスいのが前提じゃ、やれって方がムリな話だろ
いくら身体能力が優れているお前や、あのカントクみてーな厄介なマネージャーでも…カゲを極限までウスめるバスケスタイルだけはできないし、対処のしようがねぇ
…つまり、黒子(コイツ)だろ!お前らの弱点!」
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