すべてが終わってしまう前に

□見返してやってください
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「それでは試合再開します」


「やっと出やがったな…」


「スイッチ入るとモデルとは思えねー迫力だすな、オイ」


「…伊達じゃないですよ、中身も。きっと藍川さんも本気できます」


「さーて…見せてもらうよ、テツヤ。君が選んだチームがどれほどのものなのか…」


恭な誠凛の面子を見渡しながらボードとペンをその手で弄びながら目を細める


「(改めて視ると…バケモノだわ…黄瀬涼太…!あの藍川って子も雰囲気が変わったし…)」


「キャアァ、黄瀬クーン!」

「藍川さーん!頑張ってくださーい!」


急に男女問わず学生から歓声があがり誠凛の主将である日向は顔を引きつらせる


「うぉわ!?なんじゃい?」


「あー、あれ?アイツらが出るといつもっすよ。……てゆーか

テメーもいつまでも手とか振ってんじゃねーよ!!藍川を見習え!!」


「いてっ、スンマッセーーンっっ」


「シバくぞ!!」


「もう、シバいてます…。藍っちもなんとか…」


「主将、もっとやっても大丈夫ですよ」


「おう。てゆーか、今の状況
分かってんのか、黄瀬ーー!
あれだけ盛大なアイサツをもらったんだぞ、ウチは〜

キッチリお返ししなきゃ失礼だろが!」


ゲームが始まり海常ボール。笠松が伊月のディフェンスを抜いてパスをする。その先にいるのはーー黄瀬


「こっちもアイサツさせてもらうっスよ」


「……!!
(コイツ、まさかーー!?)」


火神が先ほど行ったプレーをそのまま模倣し、黄瀬はゴールに思い切りボールを叩きつけると歓声があがる


「「おおっ!!!おおぉおおお!!」」


「バカヤロー、ぶっ壊せっつったろうが!!まだくっついてんよ!!」


「いって、スイマッセン!」


「……威力はやはり涼太の方が勝っているね」


ギシギシと軋むゴールを見上げながら恭は呟く


「恭以外の女の子にはあんまっスけど…バスケでお返し忘れたことはないんスわ」


「藍川、アレ…本当か?」


「まぁ、そうですね。…やはり涼太も天才の一人ですから」


「上等だ!!黒子ォ、よこせ!!!」


火神が声をあげると黒子からのパスが火神へと渡る


「んおっっ
、やべっ」


「〜〜〜〜!?(さっきから、どっから出てくるんだ、コイツはーーー!?)」



「……またダンクか。…好きだね、彼」


「おぉ!」


「こっちも全開でいくぞ!!」


ーーーー……


「…マズいね、コレ。ハイペースすぎる…!!まだ始まって3分…なのに16対17。…ディフェンスも全力でやっていても、互いのオフェンスが強すぎる
先輩達があの赤髪にどれだけ通用するか…」


恭が苦い顔をしながらコートを見据えるとそこでは火神がスピードを落とすことなく後ろへと下がりながらシュートをする


「フェイダウェイか…。でもその程度じゃー…

黄瀬涼太には勝てない」


「なっ…!?」


恭が口角をあげると同時に火神のシュートを黄瀬が止めていた。そのまま自分のチームのゴールへと向かうと火神と同じようなフォームをとり、フェイダウェイを決めた


「(フェイダウェイ…!?コイツまた…!!しかもキレがどんどん増してやがる……!!)」


「監督、そろそろ向こうがTOをとります。…少しだけ私に時間ください」


「ああ、わか
った。しかし、なんなんだあのていたらくは…!!」


【誠凛、TOです!】


恭の予告通り誠凛のTOが告げられて海常もベンチへと戻ってくる
その目の前にドリンクを渡し終え、仁王立ちする恭の横から監督が怒鳴り始める


「なんだこのていたらくは、お前ら!!
何点取られりゃ気がすむんだ。ディフェンス寝てんのか!?オイ!」


「監督??」


「う、すまんな…」


「(監督が謝った!?)」


「あの赤髪とテツヤのコンビはヤバいです。赤髪は涼太が抑えてるからいいとして……」


「藍川、なんなんだあの異常にウッスい透明少年は…」


「黒子テツヤ。キセキの世代の6人目です」


「でしょ?黒子っちは実は…」


「なんで嬉しそうなんだテメー。俺は藍川に聞いたんだよ!」


嬉しそうに答えようとする黄瀬に肩パンしながら笠松は返す。恭は見慣れた光景なのか特に気にする様子もなく言葉を続けた


「大丈夫です、主将。この均衡はすぐに崩れますから」


「そうっスね。時間的にそろそろっスから」


「お前らがそう言い切るってこ
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