すべてが終わってしまう前に

□三倍返しする質だから
1ページ/2ページ

「さて、僕は飲み物でも買ってくるよ」


陽泉と誠凛の試合は誠凛の勝利により幕を閉じ、準決勝への切符は誠凛が獲得した
その試合が終わり、観戦していた雲雀が口を開く


「おう。早めに戻ってこいよ、あ、俺ポカリ」


「もう、大ちゃんったら!別に買ってこなくていいからね、恭ちゃん!」


「ついでだし、さつきも何か欲しかったら買ってくるよ。何か欲しいものでもある?」


「そんなの悪いよ!私も行く!」


「いいって。さつきと青峰は試合見てて。多分、誠凛が勝つと思うんだけど、念のために」


「お前の予感は外れたことねーよなー
。まっ、どちらもゾーンに入ってっからどうなるかわからねぇ試合だな
さつき、お前はここで見るのが仕事だろうが。ここは雲雀に任せとけ」


「…わかった。ごめんね、後でちゃんとお金払うから!緑茶お願いするね!」


両手を合わせて申し訳なさそうに桃井が言うと雲雀は首を縦に振ってから会場から出ていく
試合中だからか人気の少ない会館をしばらく歩いてから自動販売機を見つけお金を入れて飲み物を三人分買っていく


「緑茶とポカリと…アクエリは売り切れか……ならポカリでいいや」


…ガッ!!


「……っ(何、誰……)」


目の前が霞む雲雀はそのまま崩れ落ちるその頭上では殴った本人が見下ろしていた


「久しぶりだなぁ、キョーヤ」










「おおお、ダンクでたぁ!あれが【キセキの世代】黄瀬涼太か!!」


会場では海常のアップが始まり黄瀬がダンクを決めていた


「試合前か(ら)気合入って(る)すね、黄瀬の奴!」


「まあ、これに勝てば次は誠凛だからな」


「いや…それももちろんあると思うが、それだけじゃない気がする」


「え?」


「昨日、今日の相手のビデオを見てる時……」


森山が昨日の黄瀬の様子を告げる


「昨日のアレ…結局なんだったんだよ?」


「ちょっと昔の知り合いがいたんで…ね。ついでに嫌な思い出も…」


「嫌な思い出?」


「オレが帝光のバスケ部に入ってスタメンになったのは中二の頭…つまりその前には違う5人目がいたんス。前に先輩に紹介した雲雀っちがいるじゃないスか、雲雀っちはインターハイの最初の二戦に出られなかったんスよ…その最も危険と言われた男

ーー灰崎祥吾によって」









「ああっ!?次の試合……灰崎が出てくる!?」


「……うん」


「…チッ、やめたんじゃねーのかよ、アイツ…
…ったく、思い出したらムカついてきたぜ。……イヤな奴が戻ってきやがった」


「恭ちゃん…どこ行ったんだろう……電話もつながらないし…」


「あぁ?……まさか、また灰崎に……」


「どうしよう…っ、今怪我しちゃったら恭ちゃん、お仕事が……!」


「……探しに行こうかと思ったが……その必要はねーな」


青峰が視線を向けた先に桃井も目を向けた後心配そうな顔のままそちらを見ていた


「きーちゃん……」



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ