すべてが終わってしまう前に
□一つ相談
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「…あー疲れたー…」
「鬼畜ッスよ、赤司っちー」
「…よし、昼ご飯食べるよ」
「どこで食べるッスか?」
「そりゃ、屋上。涼しいし、そのまま寝れるし」
「今日の弁当は!?」
「涼太の好物とハンバーグ、ウィンナーに肉じゃがとあと野菜の炒め物…その他諸々」
「まさか本当に持ってきてくれるとは…!早く行くッスよ!」
重箱を持って黄瀬が嬉しそうに階段を上って行くのを見上げながら屋上へと足を進める
「おぉぉお…!雲雀っちのオニオングラタンスープッス……!」
「ほら、慌てない慌てない。確か今日は撮影だっけ。僕も収録だから、夜遅くなるけど…」
「行っていいんスか?あ、俺は近いんでランニングで行くんスけど、雲雀っちは確か遠いんスよね?」
「うん。だから車だよ
今日の収録三つとか……A・T・M・B・C・N・K・Z☆」
満面の笑みを浮かべる雲雀に黄瀬は顔を真っ青にした
「い、いや、前の収録五つよりマシッスよ…!!」
「うぅ……っ、試合もあるのに……!」
「ファンの為だと思ったら……」
「そりゃそうだけど…まぁ、ファンがCDを手にとってくれるのを見る度、嬉しくなるから頑張ろ」
「その意気ッス!」
食事の準備が終わり二人は箸を挟んでいただきます、と料理へと箸を伸ばしていく
「んー…肉じゃがはもう少し味を濃くした方がいいかな…」
「俺は薄味の方が好きッス。あ、あとじゃがいもはもう少し煮た方がいいと思うッスよ」
「そう?やっぱり食べてもらえる人がいるといいな。自分で食べても分からないし」
「恭は昔から料理上手いッスよねー、さすが女の子
恭は何か苦手なこと嫌いなものとかないんスか?」
「苦手なこと?敢えていうなら人付き合いと、嫌いなものは弱いやつかな」
「歪みねぇッス……」
「そういえばさ…一つ相談」
雲雀が真剣な表情になり黄瀬を見上げると重々しそうに口を開く
「ん?どうしたんスか?」
「どうやったらパパラッチを撒ける?
最近、ストーカー並で気持ち悪いし、家もバレたくないから必死に逃げてるんだけど……行動がエスカレートしてきて本当、苛立つ」
「寧ろ、今までパパラッチに捕まらなかったのが凄いッスよ
そうッスねぇ……じゃ、今日は収録場所に迎えに行くッス」
「でも、スキャンダルに……」
「恭なら平気ッス。それとも、俺と一緒にいるのは嫌ッスか…?」
「嫌じゃない…それどころか、嬉しい……。だからって涼太が仕事を無くしたりするのは見たくない」
「大丈夫ッスよ、考えがあるんで!」
「嫌な予感しかしないけど、ここは素直に甘えようかな…」
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