すべてが終わってしまう前に

□これからもよろしくお願いします
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「ミカさん、一つお願いがあります」


「あら、何?」


「顔出しNGを、なくそうと思っているんですが…」


「どうしたの、急に」


「なんとなく、なんですけど…黄瀬を見てたら表に出るのも悪くないかな、って……」


「いいんじゃない?ちょうどライブの話もあったはずだから話してみるわね
日にちはまた後日になるけど、いいかしら?」


「はい、お願いします。その、無理言ってすみません…」


「いいのよ、恭ちゃんが新しい道を歩もうとしているのは本当に嬉しいもの。ワガママを言う恭ちゃん、好きよ?
ライブの日にちが決まったらそのチケットも添えて渡すから、黄瀬くんや元バスケ部の仲間たちにも見にきてもらってね!」


絶対よ、と微笑んだミカに照れながらもはい。と返事する雲雀










約二ヶ月後ーー


「楽しみッスねー!」


「紫原君、お菓子なんていいんですか、ここで食べて…怒られますよ?」


「なんかー、スタッフが俺だけいいって許可してくれた〜。俺はお菓子食べていいなら別にどうでもいいし〜」


「何でこんなライブに呼び出すのだ、雲雀。しかも本人がまだ来ないとは……」


「まーまー。ミドリン、なんでサングラスなの?」


「今日のラッキーアイテムはサングラスなのだよ。だが、観客が一杯だな…誰のライブだ?」


「知らないのか、緑間。このライブは……」



ジー、という音が会場に響き渡り一番後ろの席で見ていた赤司達は口を閉じた
暗かった会場に一つのスポットライトが当てられて客席が一気に盛り上がる


【皆さん、初めまして。鈴音聖です
今まで顔出しNGでしたが、本日を以って解禁し、表舞台に立つことになりました
今までファンとか取り巻きを面倒だと思っていましたが、大切な人のおかげでファンの存在価値を知りました】


「「雲雀(くん)!?」」


【僕は中学のバスケ部に所属していました。大切な仲間たちに支えられて今まで大好きなバスケと受験勉強、歌手活動を続けられています
これからも鈴音聖をよろしくお願いします!!】


ワー!と同意するような歓声に黄瀬と赤司は喜びの表情を見せた


「あ、赤司…!どういうことなのだよ!」


「どうもこうも、見たままだ。雲雀は先日まで顔出しを拒否していた有名歌手の鈴音聖だ」


「黄瀬ちんと赤ちんは知ってたの〜?」


「まぁね。バスケ部に入る前に本人から聞かされていた」


「俺は雲雀っちと幼馴染ッスから。ついでに歌手を勧めたのも俺ッス!」


「黄瀬君、さりげなく自慢するのやめてもらえませんか?」


「ヒドッ!」


「(恭ちゃん可愛いー)大ちゃんもちゃんと見てあげようよー」


「見てるぜ。歌…うめぇな」


雲雀のライブを見ながら各々の感想を述べていく中で黄瀬だけはずっと雲雀から視線を離さなかった
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