すべてが終わってしまう前に
□勝ってこい
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「じゃあ僕はそろそろ行くよ。今日のところは挨拶だけだ」
「はぁ!?ふざけんなよ赤司。それだけのためにわざわざ呼んだのか?」
「いや…本当は確認するつもりだったけど、みんなの顔を見て必要ないと分かった
恭弥も含めて全員、あの時の誓いは忘れてないようだからな
ならばいい。次は戦う時に会おう」
赤司が去っていく背中を一瞥してから雲雀は無表情のまま携帯を取り出した
「……確か、海常は…」
「もうすぐ試合ッス。でも今から収録ッスよね?」
「収録一本、パスする。…海常は見てあげるよ
だから負けたら許さないから」
「!当然ッス!」
拳を合わせた雲雀と黄瀬が笑いあった
あと、別れ間際に雲雀は黄瀬に声をかける
「涼太」
「ん?」
「これ、あげる」
ポイ。と投げた物を掴んで黄瀬は握っていた手を解いて中にあったものを見やった
「おっと!このリングは……?」
「お守り。ちなみに手作りだから
今日は見れるから問題ないけど、これから仕事がどうしても増えるから見れない可能性も出てくるからね
無様な姿を見せたら容赦しないよ。黄瀬涼太」
勝ってこい、と口パクで雲雀は伝えると黄瀬もフッと笑ってそれに答え、雲雀は目を見開いてから身を翻した。その口元に浮かぶのは笑み
「【恭に認めてもらえるような試合をしてやるッスよ】…か。言うようになったじゃん」
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