すべてが終わってしまう前に

□かっこよかったよ
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「ふぅん……海常か。ここに……」


帽子を目深に被って眼鏡をかけた雲雀は海常の校門に立って辺りを見回した


「えっと、どなたでしょうか…?」


「誠凛との練習試合を見に来たんだけど、バスケ部の練習してる体育館ってどこ?」


「(かっこいい…!!)それなら、ここを真っ直ぐ行ったところに…」


「ああ、あれか。ありがとう」



軽く礼を告げてから彼は体育館へと歩き出した











「……仕事してたら遅くなっちゃったな……。まだやってたらいいけど」


海常高校の体育館に足を踏み入れてゴールへと目を向けた
そこにはキセキの世代の一人、黄瀬涼太と、彼の前に立ちはだかっている黒子テツヤ
二人とも、中学でのチームメイトだった。そんな二人が向かい合うのは意外で思わず二度見してしまう


「……黒子が、黄瀬のマーク?」


「「あいつ(黒子)が相手になるわけねー!!」」


「まさか夢にも思わなかったスわ、黒子っちとこんな風に向き合うなんて」


「…ボクもです」


「「一体…」」


「どーゆーつもりか知んないスけど…黒子っちにオレを止めるのは無理っスよ!!」


黒子がスタイルを変えるはずないし、黄瀬の前に立つのは何か策があるのだろうけど……


「違うね、止めるんじゃなくて…」


「とるのよ!」


パシッ!


「なっ!?」


「バックチップ…!?…へぇ、なかなか」


「おまえがどんなすげー技でかえしてこようが関係ねぇ、抜かせるのが目的だからな」


「やっかいだなクソ、ダブルチームの方がまだマシだぞ」


これじゃあ黄瀬も反応できないな。ほんとに…やっかいな相手になる。あのデカブツ、前よりも成長してる…



「そんなの抜かなきゃいいだけじゃないスか。誰もいってないスよ…外がないなんて」


「難しいね、それは。…長身の壁と黒子のパス
これでディフェンスには強くなるけど、それを崩せないならキセキの世代だなんて呼ばれないよ」


「行くぞ!速攻!!」


「…っち」


ガッ!と音を立った方向を向けば振り返ろうとした黄瀬の拳が黒子の額へ勢いよくぶつかっていた


「「あっ!?」」

「黒子君!?」

「!!」


《レフェリータイム!!!》



「血が…大丈夫かよ!?」

「大丈夫か黒子!?」

「救急箱もってきて!!」


「大丈夫です、まだまだ試合はこれからで…しょ…」


「「「「黒子ぉ―――!!!」」」」


ふらりと倒れる黒子を左腕で支えながら笑ってやるとぱちくりと目を白黒させた


「ったく、こんなところは中学から変わらないんだね」


「あ、れ…?雲雀君…どうしてここに……?」


「やぁ、黒子。君と黄瀬の試合を見にきたよ」


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