すべてが終わってしまう前に
□頭を冷やさなきゃ
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「黄瀬からどうぞ?」
「じゃ、遠慮なく…!」
ダンッ、とボールをつく音と床を踏みしめた音が体育館に響き1on1が始まった
「早い…!!火神の時とは桁違いだ!」
「彼は…キセキの世代の中でも空中戦に長けています。素早さもずば抜けて高く、僕はもちろんのこと、他のキセキの世代も追いつくことは中々できませんでした」
「でも、体格的に不利なんじゃないか?」
「いえ、彼の場合、それを逆手にとって、極限まで体重を軽くするくとで浮遊時間を長くしたり、タイミングをズラしたり、身軽にしたりと有利にしています」
「…くっ、」
「ダブルクラッチ!」
空中で身を屈めた後、宙で体を伸ばしたことで瞬時に反応した黄瀬が雲雀のボールを獲ろうとするが、再び身を屈めたことで周りが騒ついた
「(違うッス…これは……っ!)
トリプルクラッチ!?」
「トリプルクラッチなんて初めて見たぞ…」
「しかも、あれだけ綺麗なシュート……本当、キセキの世代って化け物……」
「(キセキの世代…!やっぱ、すげぇわ。ワクワクしてきた…!)」
「…黄瀬、ヘルプー」
誠凛のバスケ部が感嘆する中、火神だけ内心でワクワクしていたが……
しばらくしてゴールにぶらさがっている雲雀が小さく声をあげた
「あっ、はいッス」
「ちゃんと受け止めないと殺すから」
「はいぃぃぃぃ!!!」
ガコン、と音を立てて雲雀がゴールから手を離して落ちるのを黄瀬が横抱きで受け止めた
「ちょっと…何横抱きしてんの」
「えぇーもうちょっとこのままでもいいじゃないスかー」
「ふざけないで。早く離しなよ」
「ちぇー…。また細くなったんじゃないスか?」
「……1.5kg痩せた」
「ちゃんと食わないと病気や怪我するッスよ?」
「お前は僕のお母さんか!…だったら奢りなよ、黄瀬」
「えー…じゃあ今度の練習試合、見にきてくださいッス!」
「……わかった。だから早く降ろしなよ」
少し考えた後、ムスッと頬を膨らませる雲雀に黄瀬は素直に降ろした
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