紅の十字架

□警戒要請
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十日後──London



「ビショップをd3に」


「すみませんミランダ
結界装置のバッテリーが切れてしまって…こんなに長丁場になるとは…」


「壊れたチェス盤の《時間吸収(リバース)》中なのに、《時間停止(タイムアウト)》まで……」


「だ、大丈夫です。キエさんとマオサさんは休んでください」


「ひぃいぃいいっ、神よぉぉおぉ、お守りくださいましぃぃ〜〜〜〜っ!!」


「気が散るから黙って」


雲雀達はとある墓場にイノセンスの回収のために赴いていた
そこでチェスをしていたのは雲雀


「イノセンスを渡せぇえぇええっ!!
ここを開けろぉ──っ!!」


「ぎゃぁあぁあっ
いいっ、嫌ですぅ〜〜!!あなた、私達を殺すでしょう?」


「当たり前だ、クソ女ぁ!」


「ちょっと、アンタ!まだかい!?」


「煩いって言ってるでしょ。話しかけないでくれる?

……ポーンをe5に」


「この貧弱女ぁあぁあ!!」


「だ、大丈夫なのかい!?」


「そ……そろそろ、私の体力が…」


「「えっ」」


ミランダの言葉にキエとマオサは顔を青ざめさせる
しかしアクマは攻撃を強めるばかり
そんなとき、ゴキンという音が響く


「糞とか貧弱とか、女性に対して失礼にも程がある」


圧倒的な力でアレンがアクマを切り刻むと発動を解いた


「哀れなアクマに…魂の救済を……」


「……(これなら、いける)」


「オイ、そっちはどうなってる
まさか負けてたりしねェだろうな?」


「そっ、そんな言い方はよくないわ、神田くん
雲雀くん以外私達みんな負けちゃったんだから……」


「うるせぇ」


雲雀の隣に座り神田はチェスの成り行きを見る


「…王手(チェックメイト)」


「「やったぁ!」」


「これで僕達の勝ち。久々にこれほどまでのゲームを出来て楽しかったよ、Mr.マーチン
指輪をもらうよ」


「とんだチャンピオンだよ。夜な夜な化けて出る奴があるかい!
死んでまで迷惑かけんじゃないよ、バカ弟が!
お前は負けたんだ。もうここいらでいいだろう?」


お婆さんが問えば手だけが浮いていた部分が砂になっていく
残った指輪を手に取った雲雀は足早にその場所から去っていく


「イノセンス、回収した」


《了解。ゲート28番の地点で待機してください。開けます
本部へ帰還せよ、との命令です》


「了解」


神田は短く返してから少し前を歩く雲雀を追いかけた
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