紅の十字架

□少年の行く先は……
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「主…海上に残ったリナリー嬢と雲雀が戻ってこないそうです…」


「!」


マホジャがアニタに静かに告げるとアニタは目を見開く
一方、甲板では……


「放せよ、放せっ」


「馬鹿野郎、ボウズ!お前、結構、重傷だろ
船から出たら危ねえって!!」

「今すぐ女の子とあのボウズんトコまで船戻すからっ」


「ンなの待てるか!オレがビュッと行った方が速ぇえんだよ」


それでも放せそうとしない船員達にラビがキレた


「……のっ、はなせよぉぉぉぉぉお!」


「ラビくん、やめて!!」


「!ミランダ」


「せせっ、船員さん達に乱暴しないで!この人達は私や船を…っ
おお願い…っ」


ミランダの言葉でラビは船員を見やる
しかしそれでも彼の意志は揺らぐことなくミランダを振り払う


「ごめん…」


「ラビくんっ」


「ちちっ、致命傷は、ホントに負ってない!?」


「ああ。いいから気にせんで…」


「しゅっ、出血しそうなところ教えて。ぬ、ぬ、布で縛った方が…」


「んな事、今はどうだっていいだろうが。リナリーと恭弥が心配じゃねェのか!!
あいつらはお前らの仲間だろ!!」



「ひっ」


「(はっ)」


「あなたも、仲間でしょ…?違うの…?」


ミランダは震えながらも訊ねるとラビは拳を握り締めて槌で船から飛び出す


「う…っ、ぐぁ…あ…」


船から離れたことでラビの体に傷が戻り始める


「リナリ…恭弥…どこだ…っ
この辺りのハズなんだ…
冗談キツイって…ヤなこと思い出させんなよ…、……っ」



──僕は、生きる為に戦う


「…生きてろよ…っ、じゃねぇと、ユウに合わす顔がないさ…。なぁ…っ、」


「リナリィイィイイィー!恭弥ァァァアァァ!!」



ゴボボッ…


ドン!!


突如、ラビの目の前に飛沫があがる
そこに現れたのは肩に雲雀を担いで大きな結晶のようなものを掴んでいるアクマ


「(アクマ!まずい!俺はリナリーみたいに海上じゃ戦えねェぞ
しかも恭弥を人質に取られてんじゃ…)」


「お前、《Jr.》っちょ?」


「は?」


「は、じゃねーちょ。ブックマンのJr.っちょ?手ェ超痛ぇ、手伝ってくんない?恭弥を運ぶのは構わないけど
・・
これ…、アクマのオイラにゃキツいんだっちょ」


「????
(何言ってんだ、コイツ…)」


アクマの助力を求める声に思わずラビは目を疑っていたが結晶の中にいるリナリーを見つける


「まだ生きてるちょ。恭弥も少しずつ怪我は治っていってるっちょよ」


「テメェ!何しやがった!」


「あっ、ひど!オイラじゃねェっちょ、ボケ!オイラは恭弥と知り合いっちょ!
それにこの結晶はこの娘のイノセンスだっちょ!
娘がレベル3と相討とうとしたところをガードして守ったんだっちょな」


「(イノセンスが!?そんな話、聞いたことねェ、装備型のイノセンスが、適合者の意志なく勝手に考えて動いたってのか!?)」


「……っ、ぅ…」


「あ、起きたっちょか?」


「あ、れ……ちょめ…?ラビも…ぼく、生きて、る……?」


意識が朦朧としながらも雲雀は確認を求めるとアクマは頷いた


「何とか助けられたっちょ。久しぶりっちょ、恭弥」


「うん…」


「イテテテテッ、ちょっ、ホント手伝ってJr.!手がモゲるっちょ、イノセンスめっさ痛ェ!!ねェってば!」


「(罠か……?)」


何が何だか分からなくなってきたラビの横を俊足で何かが通りすぎてアクマへとぶつかった


「ぷげっちょ。何すんだバカやちょ!」


「ティムキャンピー!」


「ちょっ」


「!?」


ピト、とティムは警戒するどころかアクマの頭へと乗るのを見たラビは驚愕の表情を見せる


「ちょっとまて、ティっ…ティム…?」


「あー!お前がマリアンのゴーレムか!聞いてたのより、デカくなってんじゃんちょ!」


「おっ、おいおいおいっ、乗る頭(トコ)違うだろ!!なんでよりにもよってアク…」


「あー…やっと意識がはっきりしてきた…。多分クロスの匂いでもするんじゃない?」


「オイラが奴の使いだからっちょか?」


「多分ね」


「へぇ。アクマはアクマでもっ、オイラはクロス・マリアンに改造されたアクマっちょ!」




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