紅の十字架
□少年の行く先は……
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「寒い……」
「しばらく海に沈んだっちょったから、きっと体が冷えたっちょね」
甲板の少し離れた位置でアクマに下ろされた雲雀は膝を抱える
「マリアンから伝言を預かってる
《お前は江戸に来い。もしあいつらが付いてくるようなら、できる限り、守れ》と」
「あはは……僕にそれを言うか…クロスの馬鹿……
僕は、何も守れやしない。守ろうともしないんだ…そんな伝言、聞けないよ……」
「でもお前は守ったっちょ。一人で船を守ろうとレベル3に向かって行ったちょよ?」
「あれは、僕が生きる為に選んだ……僕の自己満足だ」
月を見上げながら雲雀は嘲笑するとアクマが雲雀の頭を撫でる
「お前は十分頑張ったっちょ。恭弥、お前変わったっちょね」
「変わった?」
「うん。昔より笑うようになったっちょ。それに、仲間思いになったっちょ」
「……笑う、か……。ちゃんと、笑えてるのかな…僕…」
「オイラの見た限りは笑えてるっちょ
でも今は休むっちょ。起きたら江戸に連れていくっちょから」
「…分かった…おやすみ、ちょめ……」
膝に顔を埋めた雲雀はしばらくすれば規則正しい寝息をたてはじめる