紅の十字架
□使者の合流
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「…レベル…3が2体……」
空を見上げる雲雀は静かに呟いた
レベル3のアクマ一体とリナリーが戦闘を繰り広げていた
「……行くか」
タッタッ、と音を立てて雲雀は刻盤の盤へと乗った
「恭弥!?」
「下がって、3人とも」
「あいつら、レベル3だぞ!」
「分かってる。だから僕が行く
怪我人がレベル3に立ち向かえるとでも?」
「……っ、しかし、一人では……!」
クロウリーの言葉をうるさい、と一蹴する雲雀
その表情には笑みが浮かんでいた
「こんなところで死ぬつもりはない
僕は、生きる為に戦う」
「雲雀……」
「ミランダは絶対に守って。彼女がいなければ、時間は戻らない」
「分かっている。盤は心配するな
自分の身も省みよ」
「ありがと。イノセンス、発動…」
雲雀がトンファーを構えて呟いてからブックマンは重ねて注意する
「第三開放は、出来うる限り使用するのではないぞ、雲雀」
「……どうだろうね。善処はするよ
第二制御、解除……業火──旋回!」
雲雀がトンファーを繋げるとイノセンスによりその姿は変化して日本刀の形になる
同時に周辺に突風が吹き始める
「!鉄の棒が、刀に……!」
「アクマなら、咬み殺すだけだ」
盤を蹴りあげて上空にいるレベル3のアクマへと接近していく
「お前が、我の相手か?」
「随分と人に近いアクマだね。レベル3は全てそんな感じかい?」
「そうだ。お前を叫ばせることが我の歓び。さぁ、泣き叫んでもらおう」
「…空中か……
業火──「遅いな」
ズブ……
「!!」
雲雀が攻撃態勢に入った途端にアクマが横腹を貫いた
「…そんなもの、食らったところで……」
ズキンッ
「な、んで……っ、ゲホッ…ッ」
吐血しながら痛みに顔を歪める雲雀はアクマを睨み付ける
「我のダークマターは《痛覚機能操作》だ
汝にとってはこの上ない相手だろう」
「…そ…いうこと…」
「そのまま叩きつけてやろう」
ガシッ、と雲雀の頭を掴み船の甲板に向けて勢いよく投げつける
沈む船のマストに辛うじて捕まった雲雀はおもむろにマストを登り慣れない体の痛みに歯噛みをする
「恭弥!!」
「「雲雀!!」」
「ぐ…っ、…鬱陶しい能力しやがって……っ」
船に戻ったからか雲雀の横腹を抉っていた傷が癒えていく
スゥ、と大きく息を吸いながら立ち上がった雲雀は目を閉じる
「やっぱり第三まで解除するしかない
僕の痛覚と引き替えに高まれ。第三制御、解除……業火──卍来」
業ッ、と雲雀の周囲の空気が一変していく
次に開いた瞳は紅く光っていた
雲雀は烈火を構え直して再びアクマへと接近する
「恭弥の目が紅くなってたさ……」
「第三開放までしてしまったか…。できる限り、控えておくべきだったものを……あの馬鹿者っ」
「じじい、何かマズいのか?」
「……あやつの開放は、体の痛覚を感じない代わりに力を高めるものだ
痛覚が鈍れば、自分の致死量を越える出血をしても気づかぬ」
「それって、命を削るようなもんじゃねぇか!」
「だから釘を刺したのだ」
ブックマンは珍しく苛立ちを隠さないまま告げる