紅の十字架

□響くは閉幕のベル
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「……がはっ…っ、」


「あっけないですね」


「…うるさ、い……っ…」


攻撃の爆風に巻き込まれ壁に叩きつけられた雲雀の体の至る所からは出血が見られ、息切れもしていた


「(目が、霞んできた…)」


「まだしなない。ないぞうをこわしたらしにますか?」


「ぐっ……」


雲雀の首を掴んでいたレベル4の所に新たなイノセンスを手にしたリナリーが現れた



「よくもホームをめちゃくちゃにしたわね
その汚い手を離しなさい」


「またあらてか」


「リ、ナ……」


「はっ!!」


レベル4の横腹に蹴りを入れると雲雀は手から解放されて壁へと叩きつけられそうになる


「(衝撃が来ない……)」


「……大丈夫か?」


「ユウ…?」


「ああ」


短い返事に雲雀は力なく笑った
雲雀の体を凝視してから神田は雲雀に負担をかけないように横抱きにする


「ユウ…僕…頑張ったよ」


「そうだな。お前は頑張った
だから、今は動くな」


「うん……。今の攻撃…リナ、避けた…」


雲雀の視線の先には遥か上に飛んでいたリナリーとその最中に彼女に助けられたアレン


「恭弥は見えたらしいけど、ユウ、見えた…?」


「……見えなかった…」


レベル4と戦闘をしているリナリーとアレン
彼女達は互角に戦っていた


──ピ…ガガッ…


雲雀の付けていた無線がノイズ混じりに繋がった


《…うや…恭弥》


「クロス…?」


《起きたみたいだな》


「なんとかね……で、生きてるんだ……」


《ったりめーだ
餓鬼はそこから離れてろ。恭弥、テメェに手伝ってもらいたいことがある。イケるか?》


「…?ユウ……クロスがここから離れろ、って…
僕は、少し行ってくる」


「おい…!」


「大丈夫。死なないよ」


《撤退は中止だ、コムイよ》


壁が吹き飛ぶと共にコムイの無線へと聞こえた声にコムイは目を見開く


「このビールッ腹野郎が、実験サンプルにしてやる」


声の主は──クロス・マリアン


「クロス元帥…本当に…」

《他に誰に見える》


──ザザ…ザザ…


《…ちょ…室…長…》


「リーバー…リーバー班長か!」


続いて無線からリーバーの声がしたことに更に目を丸くするコムイ


《すみません…今、意識が戻って…自分達は第五研究室の下…瓦礫と炎の中に……詳しい位置はわかりませんが…ミランダの《時間停止(タイム・アウト)》の中にいます。《抱擁ノ庭(メーカーオブエデン)》も視認できます…みんなまだ生きてます。頼みます…消火を…っ》


「分かった、すぐに消す!もう少し頑張るんだ!ミランダの消耗を少しでも抑えられるよう体をできるだけ寄せ合って《時間停止(タイム・アウト)》の範囲を小さくするんだ」


コムイはてきぱきと指示を出してから無線をクロスに向ける


「クロス元帥」


《何だ》


「私は上に戻ります。アレン、リナリーと共に目標の破壊、頼めますか」


《言われるまでもない。行っていいぜ、室長
恭弥も心配いらねぇぞ。馬鹿弟子並みにしぶといからな》


小さくクロスに笑みを浮かべてから次にコムイはラビと神田、雲雀に声をかけた


「大丈夫か!?」


「もお動けねェ〜」


「すまない、武器のないキミ達を戦わせて…」


「はあ?テメェに謝られる筋合いはねェ。アクマと戦んのが俺の仕事だ」


「ただ寝たきりだと体が鈍るからね
それに、今から少し手伝わなきゃならないらしいし」


「ユウと恭弥ってばマジ男前…」


か細い声で返すラビと息を切らしながらもツンとした態度を貫く神田、立ち上がりレベル4を見据える雲雀

ヘブラスカの間を去ろうとするコムイにリナリーは叫んだ


「兄さん!?研究室に生きてる人がいるの…?」


「そうなんですか、コムイさん!?」


「アレン、リナリー。……ああ!」


それを聞いたリナリーは喜び、アレンは嬉し涙を流していた


「ユウ、いつもみたいに見送ってくれる?」


「……ああ。絶対に戻れよ、恭弥」


「うん。行ってきます」


──ザザッ……


《恭弥、聞こえるな》


「うん、聞こえてる
…言わなくても分かってる…」


《そうか。少しでいい
無茶はするなよ?》


「言われなくても」


雲雀はうっすらと笑みを浮かべて壁伝いにレベル4へと近づく



ギギギギ――――


「いの……せ……ん…す」

「なに…っ!?」


「!」


「きらい、きらい、きらい…いのせんすだいきらいいいっ!」


アレンの退魔の剣を掴むレベル4


「…しぶといやつ」


レベル4の手に光が集まり、アレンの頭に近づけて放つ
リナリーとアレンは辛うじて避けると


「ぐっ……」


「がぁあぁあああああっ」


「!!」


レベル4はお腹に刺さっていた退魔の剣を引き抜いてアレンの真横に投げつけると壁に突き刺さった


「は……はぁ…は…
ははは……は…ははは…は…

あまいね…このぼくがこのくらいでこわされるわけないでしょうッ…」


レベル4はアレンへと接近しようとした時、


「いいや、お前はブッ壊れたんだよ」


「君は僕達が壊す」


壁に突き刺さった剣の上にクロスと雲雀が乗ってレベル4を見下ろしていた
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