紅の十字架

□死神の出現
3ページ/4ページ

「どうして目を覚まさないんだ。ロードにはイノセンスの攻撃が効かないんじゃないのか!?」


「喚くなよォ。もしかしたら、ロードのノアメモリーにまでダメージが浸透してるかもしんねぇぞォ…」


「どうやら、アポクリフォスはおまえらのイノセンスよりはるかに格別らしい」


「このままじゃ、ロードの扉も使えねェぜぇ?それに、俺からしたら一番の問題はデザイアスだァ
…ぶちギレるかもしんねェ」


「それだけは勘弁だな」


ロードの養父であるシェリルを思い浮かべてげんなりするカルテとティキだったが顔つきが一変する


「(この気配…教団の追手か)
アポクリフォスの情報は掴んだし、一旦退くか」


「同感。メタボがこの状況に気づいたら方舟を開けてくれんだろォ」


「てワケで、ロードよろしく」


「は!?」


「冗談じゃない。なんで僕がッ!!」


「オレとカルテはゴーレム連れておまえらを守りながら逃げんだぞ」


「そうじゃなくて、僕はエクソシストだ!なんでノアと一緒に逃げる……っていうか、おまえ達のせいで事態がややこしくなったじゃないか!逃げたきゃ3人で逃げろ!僕とティムは教団に…ッ」



ドクンッ


「!おいおい!」


「何してんだよ、餓鬼!発動をとめやがれ!」


イノセンスを発動したアレンにカルテは叱責し、ティキが慌ててアレンに駆け寄る


「う、うるさい。触るな…ッ、勝手に…止められないんだ……ッ!!」


「チッ…もしかしたら、イノセンスとアポクリフォスが、知らせるかもしんねぇぞ、こりゃ」


「左腕が奴に知らせてるのか!!」


アレンが後込みしながらアポクリフォスの名を呟いたのを見たカルテは舌打ちするとティキがアレンの左腕を掴む


「斬り落としてやるよ…ッ」


「!やめ…ッ」


──ズバッ


「……おい、てめェ」


「なーんで逃げんだよ。まだ、そんなものに縋る気か?」


「……近づくなッ」


「「バカか、おまえ?」」


カルテとティキの二人はこれまでにない形相でアレンを睨み付ける


「アレが清純な神の結晶にみえたか?あの化け物が」


「おまえ達ノアだってたいして変わらないじゃないか。しかも恭弥を使ったり、AKUMAを従えて人を殺しまくってる分、はるかにタチが悪い」


「あんさんがそれ云いますかぁ」


「はい!?」


はぁ、とため息をつくティキにアレンはイラッとする


「そのタチの悪いノアメモリーと神の結晶(イノセンス)、ふたつの化け物を身に宿して、しまいにはあの気色悪いアポクリ野郎に合体されそうになってるおまえが
自分がなんなのか知らず、弁えもしない
ただ周りに混乱と争いをバラまいてる


おまえこそ一番タチが悪いんじゃないのか、アレン・ウォーカー」


「……ッ」


「知ってっかァ?恭弥の奴は、ハッキリしねぇのが一番嫌いなんだぜェ?
信じるんじゃなかったのか、アイツが戻ってくるのを」


「!」


カルテの言葉にアレンが目を見開くと同時に少し離れた場所で爆発音が響いた


「!!」


「あの野郎、もう来やがったァ!」


「カルテ、おまえは少年とロードを見ておいてくれ。俺が行く」


「……ジョイド、気を付けろよォ。俺だけがあのメタボんとこに戻るのだけは勘弁だぜェ?」


「分かってるって
少年、本当にエクソシストを貫きたいってんなら、戻るな
自分のなかの化け物と白黒つけに行け


今の少年とじゃ、ポーカーしてもつまんなそうだしな」


「…………」


ティキは気配の感じた方向へと駆け出した
しばらくしてアレンはイノセンスの発動を止めた


「混乱と争いをバラまいてる……
(僕がはっきりしてないから)」


「……アレン・ウォーカー?」


「は…その通りだ……」


「《立ち止まるな、歩き続けろ》
ネアがマナとリリィに遺したことば…」


「!ロード…」


「ロード、キミ……!?」


「ネアは、マナとリリィの為に戦ったんだ…

ナイショ、だけど、ね……」


「!!ロード!?」


「おい!消えんなッ!」


スゥ、と涙を流しながら消えていくロードにカルテとアレンが駆け寄るが二人の手をすり抜ける


「ロード……ッ」


「…カルテ…リリィって、」


アレンの問いに少し黙りこんだカルテだったが、しばらくして重い口を開いた


「……、教えてやるよォ。リリィは…恭弥の記憶の一部にあった…というかアイツの脳の持ち主であり、元になった女だァ
それを男にしたのが恭弥のあの体。そして…リリィは


──ネアが唯一愛した女」


「!!」


「クロスの野郎が言ってなかったかァ?
ネアの復活、あのアルマ=カルマの件で恭弥を飲み込んだ記憶は恐らくそれだぜェ」


「そういえば、あの時……」


アレンはクロスが失踪する前日の面会で雲雀の言葉を思い出していた


「俺が知ってるのはここまでだァ。あとはメタボと恭弥、ロードしか知らねェ

…方舟を使って精々歩き続けるんだな、アレン・ウォーカー」


カルテが槍を出して構えるとそう言い残してその場から駆け出す
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ